1.はじめに
今回のブリードですが、結果から言ってしまうとメスに偏るという不本意なブリード結果になってしまいました。累代危機に陥ったので当初は記事にまとめるつもりもなかったのですが、優しいクワ友さんの出会いもあり感謝の意も込めてブログにまとめることにしました。(RUIさん、この場を借りて御礼申し上げます)最近、色々な人との交流も増えてきて楽しいなぁ。
紹介するクプレオニテンスホソアカクワガタ (Cyclommatus cupreonitens)は、スマトラ島固有種(ジャワ島にも生息しているという噂を聞いたことがありますが真相やいかに…)で、Mt.クリンチ産やMt.デンポー産のラベルをよく見かけます。最近はホソアカ人気の高まり?とともに生体価格は右肩上がり傾向です。
与太話ですが、業界全体が冷え込んでいた10年程前は、オス単体でこのお値段。しかも大歯パープルです!(RUIさんより写真提供いただきました) キクロ全般に言えることですが、本種の魅力は色彩変異豊かなところでしょうね。ピンク味が強い個体が標準的なカラーと思いますが、緑色味の強い個体も居ますし、アリストさんのHPでは頭部が青みがかった紫、上翅がベージュという信じられないような色の個体も入ってきていたようですね。ググると出てきますのでご参照ください。
体表面の体毛が粉を吹いたようなマットな質感になるので些か地味な感じがするのは否めませんが、玄人好みのホソアカかと思います。野外レコードが69.5mm、飼育レコードが57.7mmですからブリードで大サイズ出すのは難しい種なのかもしれないですね。
2.種親紹介
2019年5月中旬にオークションにて購入。Mt.クリンチ産のWDペア(♂57mm+♀25mm) 2ペアしか入荷がなかったので結構競りました泣。8k程で無事落札。
顎先のブルーからグリーンへのグラデーションがが美しいですね。大顎基部の内歯も同じようなカラーリングです。
個体差はあると思いますが大型化すると大顎基部に鋸歯が出てくるようですね。
大顎基部の裏面。小さな突起が下に向かって出ています。これも大型個体の特徴です。
腹部。ピンクが強い個体です。
♀25mm 今見ると華奢ですね。
3.ペアリング-産卵セット-割出-
①ペアリング‐産卵セット(2019年5月-)
ペアリングはさせず産卵セットに同居。コバシャ(中)に、軽く握って水が浸み出るか出ないかくらいまで加水したOYKインセクトの爆産くんをケースの壁面に積み上げていく感じで組んだセットです。産卵1番でも問題ないと思います。材は使用していません。管理温度は20度。
セットを組んで1か月程でケース壁面に初齢幼虫が1頭見えます。この時は勝った!と思っていました…
②割出(2019年10月中旬)
色々と忙しくて割出が遅れまして、組んでから5か月が経過・・・結果は3頭でございます。私の目が節穴で無ければ全て♀!
一気に奈落の底へ…爆産してるとケース壁面に夥しい幼虫が見えるのですが今回は当初から殆ど見えなかったもんなぁ。どうやら出がらしの♀だったようです。
③幼虫飼育‐羽化
雌雄判定のミスで♂が混じるかもしれないという一縷の望みを託し、使用ケースは800CCをチョイス。マットはきのこの山のLBマットをよーく加水したもの。1本返しで管理します。やっぱり割出が遅かったみたいで、2019年12月にはみんな蛹室を作りだしました。蛹室ちっせぇええええええ!!!!やっぱりみんな♀でした。こういう時に限って私の雌雄判定は冴えています…
4.羽化個体紹介
以下、ざっと羽化個体を紹介していきます。♀だけですがね…
① 2019年12月羽化
2019年10月→800cc LBマット
28mmほど。太い♀で自力ハッチしていました。
② ♀ 2019年12月羽化
2019年10月→800cc LBマット
28mmほどですが3頭中最も緑味が強い個体。美しいですな。800のボトルで育てたのでこちらもガッシリとした体格です。
③ ♀ 2019年12月羽化
2019年10月→800cc LBマット
こちらは少し華奢ですが27mmほどあるので親より一回り大きくなってくれました。緑味は弱めで茶色が強い個体ですね。
5.まとめ
今回も前回の キンオニに続いてペア不成立となってしまい累代危機に陥りましたが、クワ友さんであるRUIさんより、①の♀を同産地の♂とトレードして下さることになりました。改めて御礼申し上げます。
Mt.クリンチ産 F2 ♂35mm
羽化時期もほぼ同じなので次サイクルの足掛かりができました。 単体♂WDも調達できたので、次サイクルは2ライン(♀は②と③を使用)で累代する予定です。基本的な飼育方法は変えずに取り組み、次回こそは大歯の美しい♂を羽化させたいですね。