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クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

2020年6-8月 採集記録 まとめ

0.はじめに

メインフィールドであった徒歩圏内クワガタ採集シーズンも9月に入り一段落したので、その他フィールドも含む2020年度6月-8月の採集総括をしたいと思います。

1.神奈川県東部でのクワガタ採集

1.1 ミヤマクワガタ

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神奈川県東部に引越して初めてのシーズンを迎えました。今シーズンの必達目標は同地(というか自宅裏山...)でのミヤマクワガタ採集!昔から大好きなんですよねえ。耳状突起、金の体毛、威厳ある威嚇姿勢、どれをとっても最高です。本種は涼しく湿潤な環境を好みます。標高が高いエリアであればシーズン通して観察することが出来ますが、裏山の標高は一番高いところでも100mほど。当然、真夏の気温は平地と何ら変わりません。本種の生態を踏まえると同地の採集実績自体、半ば信じられませんでしたが、結果的にはシーズンを通じて63頭もの個体を観察することができました。こちらがそのグラフ。

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6/17に初採集、そこから7月初旬頃にピークを迎え8月に入るとパタリと居なくなります。死骸も見ないのでどこにいってしまうのやら…

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個体数が多く確認出来たのは標高70-80mの尾根沿いに生えるコナラの木。とても風通しの良いエリアです。

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何の変哲もない木の表面にペアリングしていたり、止まっていたりするので気が抜けません。今シーズン最大個体は65.6mm 採集日時/条件: 6/26 23:30-25:00 晴れ 気温24° 湿度96% 風速1m/s

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4-5mの高さでナラ枯れで死ぬ直前のコナラの大木の樹液を吸っていました。

こちらは♀の最大個体41mm 採集日時/条件: 6/23 曇 気温23° 湿度90% 風速1m/s

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最大♂と追い掛けしてブリ。幼虫がチラホラ見えてきました。羽化したら記事にしたいと思います。2年後ですが...😅

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手前の個体は福岡の虫友から送ってもらった72mmで奥の個体が今シーズン最大個体65.6mm....実際に見ると一回りは違います。九州は大型化しやすい?エリアでズルいぞ!!来シーズンの目標はあくまで神奈川県東部で70upのミヤマ採集することです。(小声)

1.4 ノコギリクワガタ

本種は、引越してすぐの去年の晩夏にボロボロになった♀を確認していたので生息は確実。

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ミヤマと同じ時期から発生している様子で、樹上で樹液を吸っている個体を数多く見れました。

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アベレージは50後半程。鬱蒼とした森の中はミヤマが来ないからか、個体数がより多く、活動範囲がミヤマに比べて広い印象。最大個体64mm 採集日時/条件: 7/2 20:30-22:00 晴れ 気温24° 湿度78% 風速4m/s

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余裕があればブリもしたいところでしたが捌けないので今シーズンは断念。来シーズンは60mm後半、あわよくば70mmの大台が見たいところです。(こちらも小声)

1.3 ヒラタクワガタ

ミヤマ採集実績と同じくらい信じ難かったのがヒラタクワガタの生息でした。オフシーズン散策ではヒラタが入りそうな洞や捲れがあり樹液を大量に出すような条件の良い木が見つからなかったためです。これはただの杞憂でシーズン中に新たに良い木も発見でき、結果的には6頭観察することができました。最大個体は54mmが2頭です。まず1頭目。 採集日時/条件: 6/17 23:00-24:30 晴れ 気温:21℃ 湿度85% 風速:0m/s

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以下は最大タイ個体。採集日時/条件:7/16 20:30-23:00 曇 気温22° 湿度86% 風速1m/s

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♀は1頭のみでかなり小さな25mm。採集日時/条件:6/24 20:00-22:00 曇→小雨 気温23° 湿度92% 風速1m/s

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この♀は木の幹に止まっているところを採集しました。シーズン初期は新成虫が棲家を探すために樹表でフラフラしている個体が多いので狙い目です。

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最初に採集した54mm♂とペアリングさせ、神奈川産65UPを拝むべくブリード中です。

1.4 コクワガタ

同地で最も個体数が多いのは本種なのですが、一際風変わりな個体を採集しました。

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以下の理由で雌寄りのモザイクかな?と当初は考えていました。

- ♂と異なり♀のような丸みある頭楯
- 頭部中央に♀特有の突起
- ♂と異なる触覚形状
- ♀のような丸みのある前胸側縁

- ♀の特徴である上翅の点刻

ところが、この個体を本種の雌雄と並べて見るとなんとも中間的なフォルムなんですよね。

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SNS等から情報収集したところ、細胞全体の遺伝的構成が雌雄の中間的で統一されている「間性」に該当する個体とのこと。遺伝的構成が異なる細胞がモザイク状態で、雌雄の特徴を持つ部分が区分されている「雌雄モザイク」とは異なり、モザイクより珍しいとのこと。地味過ぎて伝わらないのが悔しいところです😢

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繁殖も可能なようなので未交配♀と掛けてみようか目下考え中...

2. 千葉県北西部クワガタ採集

8月中旬の採集。このフィールドはノコとコクワしかいません。住宅街にある緑地と畑にポツンと生える柳の木がポイントになります。

2.1 住宅街緑地

ここは住宅街の真ん中にある2-3ヘクタールほどの緑地。f:id:kohya0727tj:20200901192129j:image

よく手入れされている林で、今年はクヌギの根元から樹液がたくさん出ていました。去年や一昨年は樹上が樹液場でしたが今年はさっぱり。樹液場がどの木も根元に一極集中してて不思議です。

f:id:kohya0727tj:20200901191824j:image例年と違う点として、クロカナブンが発生しているようですね。死骸がたくさん落ちています。このポイントは5-6年見ていますが初めて確認しました。勢力拡大してきたのでしょうか。

f:id:kohya0727tj:20200901191855j:image8月中旬なのでカブトムシが多いですね。

f:id:kohya0727tj:20200901192010j:imagef:id:kohya0727tj:20200901192200j:imageセンチコガネがまとまって樹液を吸っています。

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オオゾウムシ。

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f:id:kohya0727tj:20200901192049j:imageシラカシの木には複数ペアを確認。

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クヌギの大木には大歯のペア。

f:id:kohya0727tj:20200901193042j:imageコクワの羽化不全個体もたくましく生きていました。

2.2 畑の柳

この木は大量に樹液を出すので、夥しい数のコクワが常に集まっています。

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ノコもハイシーズンには鈴なりになっている正に御神木。畑のど真ん中にポツンと生えているので毎回伐採されているのではないかと心配になるので、久しぶりに行くと毎回緊張してしまいます。恐る恐る行ってみると伐採はされていませんでしたが、去年の台風の影響からか、太い枝がかなり折れてしまっていました。枯れないでくれよ...

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f:id:kohya0727tj:20200901193605j:imageとはいえ相変わらず樹液はたくさん出していて、コクワはもちろん、シロホシ?ハナムグリ、今シーズン最大タイの64mmのノコも確認出来ました。来年も変わらない光景が見れると良いものです。 

3. 愛知県西部クワガタ採集

8月中旬の採集。フィールドは名古屋から車で1時間ほどの適度な田舎ですが、最近は太陽光発電の建設がすすみ、御神木エリアを尽く破壊。そこにナラ枯れの蔓延が追い打ちをかけています。20年前までは一晩で大量のカブクワが採れていた山林を公園にしたポイントでも採集できたのはノコペアのみ。

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マイマイカブリが樹液を吸っています。ブレてしまっていますが、藍色の体色が美しいですね。根強いファンがいるのもうなづけます。
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沈んだ気持ちになりながら、以前から気になっていたポイントを思い出して移動。幹線道路から少しそれたところにクヌギが植樹され10年程経過した小さな林です。下草も刈られていて管理が行き届いており、ほとんどの木から樹液が噴出していました。

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洞や捲れがある木が複数生えていて、ヒラタも入っていました。2-3本の細い幹が融合して形成された洞が深く、取り逃がしてしまいましたけれど・・・・サイズは大したことなかったので深追いはせず。この林の最大の成果は、このエリアではとんでもない大きさのヒラタの死骸を発見したことです。バラバラになったボディパーツを繋ぎ合わせて修復してみるとそのサイズはなんと67.5mm。愛知県西部産としてはモンスターサイズです。生体で見たかった・・・・

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左が新規ポイント個体。右が近隣産地個体58mmです。
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恐らく発生初期に樹表面をウロウロしている際にカラスか何かに捕食されたのだと思います。前胸背板の左側縁部が強い力で押し込まれて変形してます。何度も言うけど、生体で出会いたかったよ・・・ 

4.番外編

4.1 山梨県昆虫観察

ドライブがてら訪れた山梨県。フラッと入った林道にて人生初のオオムラサキアオカナブンに出会う。感激!

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一目で日本の国蝶と分かる圧倒的存在感。デカいです。雌雄を手掴み。
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個体数が多いエリアのようです。
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纏まった数の本種が飛来すると「バタバタバタバタ」と羽音がして鳥のようでした。
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こちらはアオカナブン。宝石のようでした。
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久しぶりにスジクワも見ることができました。
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4.2 関東北部タガメ採集

6月某日。関東北部に虫仲間とタガメ採集。いつか野生のタガメを見てみたいと思っていたので良い機会でしたが、朝から土砂降りです。現地に着くも車が畦道にスタックしてしまいレッカーにお世話になるというダークモード...そんな嫌な雰囲気を吹き飛ばし、虫仲間がタガメ幼体を2頭捕獲出来ました。

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幼体ながら凶悪なプレデター顔。格好良すぎです。次は成体を見てみたいですね。

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他にも水辺に暮らす貴重な生き物を沢山観察できました。いつまでもこの素晴らしい環境が維持されることを切に願います。