stag_beetle_japan

クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

2020年 北関東 ヒメオオクワガタ採集

f:id:kohya0727tj:20201004010646j:image

0.はじめに

私はこれまでヒメオオクワガタを採集したことはなく、本種を本格的に狙い始めたのは今年からになります。今回採集できたのはアカアシのみであることをまず言っておきます。引っ張るほど中身ないので...

私の採集実績なんぞ、これまで普通種の樹液採集程度で多くを語れるレベルにありませんが、このヒメオオクワガタのルッキング採集、めっちゃ面白いです。真昼間に高原の林道に身を置き、ヒメオオの食草を探しながらゆったりと熊さんに怯えながら散策する何とも優雅な採集です。ハードモードなガチンコ採集家さまからの批判は甘んじてお受け致します...まばたきするのを忘れて枝先を凝視するため、目がカラッカラになるので目薬必携です。とにかく、樹液採集に勝るとも劣らない宝探し感を満喫できるのでオススメです。

1.ポイント選定

福島県南会津郡檜枝岐村。ある程度クワガタ好きであれば条件反射で檜枝岐=ヒメオオクワガタの式が頭に浮かぶくらい超が付く有名産地。他にも新潟や富山など実績豊富な産地はたくさんあるようです。まずは1匹を求めるのであればそのような産地に赴くのは手堅く賢明な選択と思います。しかし、人生で初めて採集するヒメオオクワガタが、先達が開拓した有名ポイント産であることは断じてあってはならない!!なぜなら私の矜持がそれを許さない!!という処女信仰にも似た意味不明なこだわりが頭をもたげます。ヒメオオクワガタの生態から逆算してポイントを自己開拓するという無謀ともいえる試み(泥沼?)に身を投じることに…まずはポイントを大きく絞ります。条件は以下。

①自宅から3時間以内でいける場所(日帰りしないと家人から非難を浴びるのでコレ絶対条件)

②広大なブナの原生林があること

f:id:kohya0727tj:20201004003756j:image

①は本当にどうでもいいですが、②はヒメオオ採集には極めて重要な条件です。ブナの倒木や立ち枯れに産卵、幼虫蛹期間を経て成虫になるのでヒメオオの生活史を語る上ではブナ原生林は欠かせない要素となります。本州中部であれば標高1000M以上の高地に自生する植物なので、上記条件に合致する場所をGoogle検索や国土地理院の標高がわかるWeb地図を駆使することで、北関東の数か所に絞り込みました。自分なりに場所を絞り込んで目的地を決定することに意味があるのだと自己陶酔。ちなみに、選定後、当該箇所+ヒメオオクワガタでググると諸兄姉の採集ブログがヒットしたのは見なかったことにしました。

2.9月4日採集

場所:北関東某所/標高1000-1300M 採集時間:8:00-18:00 天気:晴れのち雨(AM晴れ⇒PM小雨) 気温:最高30.4℃ 最低20.8℃ 降水量:9.0mm 風速:3.3m/s

虫友R氏にお付き合いいただくことに。道中クワガタ話とヒメオオの取らぬ狸の皮算用話に花が咲く。2時間半のドライブであっという間に到着。ブナ帯にハイキングコースが整備された地元の方の憩いの場にもなっています。林道入り口にはクマ出没注意の看板が…(実際訪問した2か月前に女性ハイカーの方が熊に襲われ大けがをされているようで…)

熊の生息域と高山種って基本被りますよね・・・

f:id:kohya0727tj:20201004011543j:image

ブナ帯に生えるヤナギを中心にルッキングを始めます。林道入り口からまとまって生えていますが、枝を齧ったような痕跡もありません。その後もヤナギを中心に探すものの、本数が少ないエリアであることに加え、私もR氏も目が悪いので、目を凝らすのがしんどくなってきます。そして瞬きも忘れて凝視するので目がめっちゃ乾くんですよねぇ。2-3時間は探索を続けたものの、あまりの気配のなさに手あたり次第に木を蹴りだします。林道沿いの湿地に生えたカワヤナギの大木をR氏が渾身の力で蹴り上げるとコツン。乾いた音がする方を見るとアカアシの♀が落ちてきてくれました。

f:id:kohya0727tj:20201003232041j:image
f:id:kohya0727tj:20201003232035j:image

本命ではないものの、虫の気配が一切なかった中での一匹なので嬉しいものです。結局、その後も2-3時間探索を続けましたが収穫なし。天気も悪く雷鳴も聞こえてきたので移動します。

次のポイントに向かって1時間半ほど移動しますが道中土砂降り。いやな予感しかしません。

f:id:kohya0727tj:20201003234329j:image

県道川沿いのカワヤナギを見つける度に降車してルッキング。こちらは齧ったような傷も複数見られ雰囲気は感じられたものの、雨によって気温も下がり樹木も完全に濡れてしまっており気配ゼロ。18時になり無念のタイムアップ。 f:id:kohya0727tj:20201003233202j:image

地元近くのラーメン店で腹を満たし解散。アカアシは私がお持ち帰り。

3.9月19日-21日採集

前回採集が目標未達だったことが心の底から悔しかったので、家人を説き伏せ go to キャンペーンを活用して9月4日午前と同じエリアのペンションを2泊3日で予約。我ながらイカレてますね。しつこく頑固な性格なんだと思います。さすがに終日採集は出来ないので19日夕方、20日の朝夕、21日の朝の1-2時間が勝負時。結局、渋滞やイベントスケジュール等で稼働出来たのは20日と21日のみでした。うち成果があった日の記録はそれぞれ以下となります。

9/20 17:00- 18:00

標高約1200m 曇 気温20° 湿度78% 風速1m/s

f:id:kohya0727tj:20201003233628j:image
f:id:kohya0727tj:20201003233621j:image
f:id:kohya0727tj:20201003233625j:image

辺りは真っ暗。森の奥から時折物音がします...前回R氏が蹴り落としたアカアシ♀がいた林道に入ったすぐのヤナギの樹上に灯りを照らすと、高さ3m程のところに止まっているアカアシ♂を発見。網で捕獲しようとするも落下。容易に見つけることが出来ました。ラッキーだったのは落下地点に何故か飛来直後の別♂が。暗くなって活動開始した感じです。この日はこれで帰還。

9/21 6:00- 7:00

標高約1200m 曇 気温16°

めっちゃ寒いっす。パーカーとダウンベストを着用してルッキングスタート。実績林道から脇に入った小道のヤナギの枝に違和感が。

f:id:kohya0727tj:20201003235112j:image
f:id:kohya0727tj:20201003235118j:image

スマホ撮影なので分かりにくいですね。

f:id:kohya0727tj:20201003235316j:image

無事アカアシ♂をネットイン。最終日はこれで時間切れ。採集道具は長竿+網は必須ですね。来年以降、しっかりとした実績を積み上げてからツールの紹介はしたいと思います。

4.採集個体紹介

9/4 採集個体

♀27mm

f:id:kohya0727tj:20201003235941j:image

9/20 採集個体

♂33mm

f:id:kohya0727tj:20201004000201j:image

♂33mm

f:id:kohya0727tj:20201004010334j:image

9/21 採集個体

♂31mm

f:id:kohya0727tj:20201004010402j:image

アカアシってエレガントで美しいですよね。普通種なのであまりフォーカスされませんが私はとても好きな種類の1つです。というわけでブリードします。ブリードまとめ記事として紹介できるような結果となることを祈るばかりです。

f:id:kohya0727tj:20201003235806j:image

5.まとめ

f:id:kohya0727tj:20201004000339j:image
f:id:kohya0727tj:20201004000342j:image

これですよ!これ!こんな風景を己の眼に焼きつけたかった...この画像はR氏からお借りしたもの。私がリベンジしているときに彼は東北の地で勝利していたのです。ブナ帯かつ川沿いのある程度湿気を保った場所に生えるヤナギで数多く観察出来たようです。羨ましすぎて悶えてましたね。そのような条件が揃うポイントのストックを積み重ねていき、採集確度を上げていくことが本種攻略の定石かと思います。しかし、私は初めて自分が選定した場所でのヒメオオ初採集を諦めたくありません。来年も通って結果を出したいと思います。

6.参考