1.はじめに
今回のネパールコクワガタ(Dorcus nepalensis)の飼育記事は、幼虫飼育記録になります。幼虫購入や採集してブリードする場合は、羽化させてから1サイクル回した記事を1セットにしたいと思っているのですが…今回は察してください…記事を書いている2020年現在、野外品の流通が豊富にあった十数年前と比べると4-5倍は値上がりしているような感じですね。某書籍の価格帯を参考までに記載しておくとこんな感じです。安い…
♂♀ペア ♂50mm 1500円~ 60mm 2000円~ 70mm 5000円~
生息域はインド北東部、ネパール周辺です。ヒマラヤ山脈の裾野を生息地としていて、低温種であることが広く知られています。クワガタが生息していそうな緑地の標高を確認すると2,000メートル以上です。幼虫飼育した感じでは極端な低温種である印象はありませんでしたが、恒温環境は必須ですね。今回ブリードした個体はインド北東部のアルナーチャル・プラデーシュ州の西シアン県産です。今思えば流通量の多い西カメン県にしておけば良かったと後悔...
2.種親紹介
今回は幼虫飼育ですので割愛します。
3.幼虫飼育-羽化
①幼虫購入- 飼育(2019年X月下旬)
オークションで初令を4頭購入し、カワラ菌糸500へ投入。この時はまだ4頭居たのね…
初令は20℃管理 とし成長を促します。2本目まではすくすく育ち、2本目交換時には500を食いあげて10gを超えてきました。
よく食べるので500ではなく一本目は800でも良さそうです。
2本目からは1400へ増量し、16℃まで温度を下げてじっくり食べさせます。ここまでは順調に体重が乗ってくれていたのですが、3本目以降は暴れが激しく、1-1.5か月スパンで交換を強いられることに。ひとたび暴れてしまうとカワラ菌糸は急激に劣化してしまい、羽化不全したり、幼虫で死んでしまうことがあります。この暴れで2頭落ちてしまいました。
③蛹化-羽化(2020年7月-)
暴れが酷かったので蛹化を促すためマットを固く詰めた800ボトルへ投入。20℃まで昇温しました。
すぐに蛹室を形成、蛹化を確認。
先に蛹化を始めていた個体が9月中旬には無事羽化していました。
残す1頭も蛹化していますね。一回り大きい感じです。撮影のために人工蛹室へ。
9月下旬に無事羽化しました。
4.羽化個体紹介
① ♂ 70.1mm
暴れに暴れましたが70超えてくれました。
2019年9月下旬 北斗恵栽園カワラ 500cc
2019年12月5日 北斗恵栽園カワラ 1400cc (12g)*()投入時体重
2020年1月25日 月夜野カワラ 2300cc (16g)
2020年4月8日 大夢カワラ(市販) 800cc (15g)
2020年5月31日 月夜野カワラ 1400cc (16g)
2020年7月17日 DOS生オガ(捨て瓶)800cc (16g)
2020年9月25日 羽化
② ♂ 65.0mm
サイズは①に及びませんが、顎が横にせり出してカッコいい個体です。
2019年9月下旬 北斗恵栽園カワラ 500cc
2019年12月5日 北斗恵栽園カワラ 1400cc (10g)*()投入時体重
2020年1月25日 月夜野カワラ 2300cc (13g)
2020年4月8日 大夢カワラ(市販) 800cc (15g)
2020年5月31日 月夜野カワラ 1400cc (14g)
2020年7月17日 DOS生オガ(捨て瓶)800cc (未計測)
2020年8月中旬 蛹確認
2020年9月中旬 羽化
5.まとめ
今回は残念なことに4頭中2頭が途中で落ちてしまったことと、♂に偏ってしまいました。3本目の暴れが始まる前後で放置せずにマットボトルへ投入し、昇温して蛹化を促せば落ちなかったかもしれませんね。暴れ疲れて死んでしまった感じです。また、本種はヒラタケ系でも問題なく育つので、次回はヒラタケで飼育したいところです。同時並行でカワラ種が走っていたので仕方なく使用したのですが、取り扱いが私には難しい…ただ西シアン産は、なかなか目にしない産地なので、別産地でやりなおしかなと思っています。同時期羽化の♀が見つかれば話は別ですが…
大型化すると内歯の鋸歯が目立つようになりますねえ。
高級感ある黒艶ボディ。意外と立体的。
うーん。やはり1サイクルまわしたいですね。