1.はじめに
今回の飼育記事はアスタコイデスノコギリクワガタ(Prosopocoilus astacoides pallidipennis)です。本種はジャワ島・スマトラ島に生息する美しいノコギリクワガタですね。スマトラ南部のベンクール産が断トツ、(最近はやや流通量の少ない?)西ジャワのハリムン産のラベルをよく見ますが、スマトラ北部やジャワ中・東部産のそれは見たことないような気がします。生息域ってどうなっているんでしょうね。詳しい人教えてください。
BE-KUWA 79号でアスタコ各種の分類見直しが行われましたが、本種は不動でした。新分類の頭の整理は別亜種(旧poultoni)の記事にてやりましょうかねぇ…
野外レコードは68.0mmに対して飼育レコードは71.4mmです。70mmを超える野外個体が流通していたような気がしますが、この手のノコギリは大きくするのが中々難しいようで、事前情報収集を行うと諸兄姉の苦しみが聞こえてきて早くも及び腰になっています…とりあえず60mm後半の長歯がみたいところです。
2.種親紹介
ブリード仲間からの頂きもの。使用済み30mmです。
トカラノコと並べられるとパッと見た感じ混同してしまいそうです。
3.産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化
①産卵セット(2020/8/23-)
DOS生オガ使用済みマットを1400CCのボトルに固詰めした適当セット。
2020/8/26
めちゃくちゃレスポンスいいですね。底面に2卵を確認。すぐに割出さなさいと大変なことになりそうです。
②割出(2020/11/9-)
早く割出ししないと、という意識があってもすぐにやらないのがブリーダーの性というものです…使用済み♀に関わらずワラワラ見えていますね。
2020/11/11
もっとたくさんいるかと思いましたが、7卵10幼虫。ほっとしました。
③幼虫飼育(2020/11/28-)
プリカ菌糸(オオヒラタケ系)430ccへ投入。2本目以降はマットに切り替える予定です。
④ 蛹化(2021/6/27-)
概ね18-20℃くらいで管理していましたが、孵化してから7-8か月くらいで蛹化した感じです。もっと引っ張れるような気もします。
⑤ 羽化(2021/7/16-)
エリトラ個体はより鮮やかで美しいですね。
固化した個体。正面から。
4.羽化個体紹介
① ♂ 63.3mm
2020/8/23 セット→2020/11/11 割出
2021/11/28 月夜野Basic 430cc
2021/2/20 DOS生オガ+AG割カス 7g
2021/6/20 蛹化
2021/7/M 羽化確認
② ♂ 63.2mm
2020/8/23 セット→2020/11/11 割出
2021/11/28 月夜野Basic 430cc
2021/2/20 DOS生オガ+AG割カス 7g
2021/6/26 蛹化 8g
2021/7/M 羽化確認
③ ♀ 30.7mm
2020/8/23 セット→2020/11/11 割出
2021/11/28 月夜野Basic 430cc
2021/2/20 グローバル ビートルマット800 3g
2021/6/M 羽化確認
④ ♀ 30.7mm
2020/8/23 セット→2020/11/11 割出
2021/11/28 月夜野Basic 430cc
2021/2/20 DOS生オガ+AG割カス800 4g
2021/6/M 羽化確認
5.まとめ
目標を60mm後半と設定していましたが、真面目な餌を与えてこなかったのと、私の技量不足が相まってお恥ずかしいレベルでございます…。しかも4頭しか羽化させることが出来ず…幼虫体重の乗りも芳しくなく適切なタイミングでの交換を逸してしまいました。2本目の餌も適当だったしな…そして、最後は暴れて蛹化してしまいこの有様です。一本目の菌糸が合っていなかったのか、幼虫が複数落ちてしまったので、1本目からマットにすればもう少し頭数揃えれたかな、とこちらも後悔しています。黒化型を手元に残してもう一サイクル累代してみようかと思います。
兄弟でもノーマル型と黒化型とで体色が分かれるので、羽化個体が多いと楽しい色虫ですね。