1.はじめに
今回の飼育種は台湾を代表するとてもカッコいいミヤマクワガタ、タカサゴミヤマクワガタ(Lucanus dybowski taiwanus)です。朝鮮半島に生息するチョウセンミヤマクワガタ(Lucanus dybowski dybowski)の台湾亜種として分類されています。フタマタ状に大きく分かれる顎先、細かい鋸状の内歯、よく発達した耳状突起等が特徴的かと思います。
今回飼育する個体は宜蘭県大同郷思源唖口産。台湾の高地に生息する虫ということだけあって、現地の標高も1500-2000Mほど。発生時期は4-7月で、我が国でも毎年コンスタントにWD品が流通しています。飼育レコードは♂85.3mm ♀48.6mm、とりあえず80mmUPを狙って飼育したいと思います。
2.種親紹介
♂ 62mm
♀39mm(4g)
♀36mm (3g)
2020年6月中旬にネットショップで宜蘭県大同郷思源唖口産のWD 1♂2♀を購入。♂が小さいので5-6千円くらい。新竹県尖石郷産のペア(70.8mm×43.3mm)を別ショップで購入していたのですが、♀がすぐに死んでしまいスカでした。ミヤマ自体虚弱な虫なので、海外輸送(EMS?)で体力消費、さらに国内輸送で追い打ちをかけられる感じでしょうか。手元に届くころにはヘロヘロ、最悪死着など、やや博打感あります…さすがに2♀いるので大丈夫でしょう。
3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化
①ペアリング(2020年6月11日)
持腹と思いますが追い掛けします。
②産卵セット(2020年6月14日)
黒土をベースとした典型的なミヤマ産卵セット。中ケースを使用。管理温度は18-20℃
尖石郷産も涙ぐましく再セットしてますね。
③割出(2020年8月16日)
5-6mmある卵。見慣れていないと大きさにたじろぎますよね。
卵と初令が混合している感じです。
④幼虫飼育(2020年10月17日-)
卵で割出たものをプリカで2か月放置。2令まで加齢していました。
♂はMDマット、♀はアンテマットをベースに二次利用ブレンドで飼育します。
20℃程度で管理。順調に育っています。
⑤蛹化-羽化(2021年10月中旬-)
幼虫体重22g→蛹体重13g
70mm前半くらい。特段温度変化をつけずブリード。
4.羽化個体紹介
Aライン(♀39mm)
① ♂ 67.3mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/19 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 19g
2022/1M 羽化確認
② ♂ 71.7mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/10/17 生オガ(ブナ)+DOS生オガ(二次利用)+LBマット(二次利用) 800cc
2021/6/26 MDマット改1500cc 22g
2022/1M 羽化確認
③ ♂ 72.3mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/19 MDマット改 800cc
2021/6/26 MDマット改1500 22g
2021/10/9 蛹化確認 13.5g
2022/11/25 羽化確認
④ ♂ 72.4mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/8/16 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 23g
2022/1M 羽化確認
⑤ ♂ 72.6mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/18 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1300cc 22g
2021/10/10 前蛹確認
2022/1M 羽化確認
⑥ ♂ 73.8mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/8/16 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 21g
2022/1M 羽化確認
⑦ ♂ 73.9mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/19 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 23g
2022/1M 羽化確認
⑧ ♂ 74.7mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/24 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 24g
2022/1M 羽化確認
⑨ ♂ 77.0mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/19 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 23g
2022/1M 羽化確認
⑩♂ 82.1mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/19 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 24g
2022/10/19 羽化確認
①①♀44.3mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/19 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 10g
2021/10M 羽化確認
①②♀44.6mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/24 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 未計測
2021/10M 蛹化確認
2022/1 羽化確認
①③ ♀45.3mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/8/16 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 未計測
2021/10M 羽化確認
①④♀45.3mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/19 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 11g
2021/10M 羽化確認
①⑤♀45.7mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/10/17 生オガ(ブナ)+DOS生オガ(二次利用)+LBマット(二次利用)800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 10g
2021/10M 羽化確認
①⑥♀45.9mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/24 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 12g
2021/10M 羽化確認
①⑦♀46.0mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/10/17 生オガ(ブナ)+DOS生オガ(二次利用)+LBマット(二次利用)800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 11g
2021/10M 羽化確認
①⑧ ♀46.6mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/24 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 14g
2021/10M 羽化確認
Bライン(♀36mm)
①♂72.3mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/10/17 生オガ(ブナ)+DOS生オガ(二次利用)+LBマット(二次利用)800cc
2021/6/26 MDマット改1300cc 17g
2021/1M 羽化確認
②♂73.8mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/18 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1500cc 26g
2021/10/10 前蛹
2022/1M 羽化確認
③♂75.5mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/18 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 26g
2022/1M 羽化確認
④♂77.2mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/11/18 MDマット改800cc
2021/6/26 MDマット改1400cc 26g
2022/1M 羽化確認
⑤♀47.5mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/8/16 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 14g
2021/10M 羽化確認
⑥♀49.1mm
2020/6/14 セット→2020/8/16 割出
2020/8/16 MDマット改800cc
2021/6/26 DOSアンテマット+グローバルビートルマット800cc 15g
2021/10M 羽化確認
5.まとめ
先回記事にしたタイワンミヤマ(ご興味あれば以下の参考記事をご覧ください)に比べても成長が早く、77.5mmの大型個体で孵化後17-8か月で羽化しているので、Lucanus属の中では比較的早くサイクルが回せるのはお手軽で良いですね。20℃一定で管理していたので、80mm越えをコンスタントに狙うためには、もうちょっと温度を低くして引っ張りたいところです。今回は1頭だけ82.1mmが2年1化で羽化してきてくれましたが、2本目の交換を怠ってしまったのはもったいなかったですね。
♀は地味に現レコード超えたのですが、50mmUP羽化させている方が結構いらっしゃるみたいです。
本種の良さの1つに♂の形状がバラエティに富むこともあるかと思います。以下の写真、同腹兄弟なのですが、大顎の形状、歯の本数・付き方、事情突起の発達具合のバリエーション豊かで楽しかったです。
そろそろ野外品が入ってくる時期(2022年3月に本記事作成しています)なので購入をご検討されてはいかがでしょうか。