1.はじめに
今回は自宅裏山産本土ヒラタ(Dorcus titanus pilifer)の飼育記録です。東海以西の地域であれば個体数が多い本種ですが、関東以北は局地的に生息している感じで、実績ある場所で狙って採る必要があります。種親を採集した2020年シーズンにおいては、6月中旬-8月初旬の雨天以外はほぼ採集に出かけたものの観察できたのは6頭だけでした。うち♀は1頭のみで、これを逃すとブリード機会もないかな、と思ったので絶やさない程度に飼育してみます。まずは65mmUPを出したいところです。
2.種親紹介
♂ 54mm
採集日:2020年6月17日23:00-24:-00 天候:晴れ 気温:21℃ 湿度:85% 風速:0m/s
細いコナラの樹洞から得た♂
♀ 25mm
採集日:2020年6月24日 20:00-22:-00 天候:曇→小雨 気温:23℃ 湿度:92% 風速:1m/s
シーズン発生初期で樹液が染み出す木の幹にとまっていました。極小です。
3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化
①ペアリング(2020年7月3日)
発生初期の♀は未交配かもしれませんので、しっかりペアリングさせます。
一旦マットのみでセット
②産卵セット(2020年7月11日)
レスポンスが悪いので材を埋め込んで再セット。
2020/8/25
やっとスイッチが入った感じ。ブリード品はマットのみでも産みますがWDは材ありの方が反応が良い気がします。
2020/8/30 幼虫確認
③割出(2020年9月2日)
6卵6幼虫。丁度良いので打ち切りとします。
④幼虫飼育-羽化
1本目は菌糸、2本目以降はマットでブリードします。
早い個体だと半年ほどでスピード羽化。一貫して20度管理。各個体、成長度合いにバラツキが出ました。総じて菌糸はあまり成長してくれませんでしたが、マットに交換してからの食いの方が格段に良く、あまり菌糸に馴染んでいない印象でした。生息環境の違いによるものか、WF1でも菌糸ガンガン食べる本土ヒラタも居ますよね。
60mm程の羽化後 間もない個体。
4.羽化個体紹介
① ♂ 47.5mm
2020/7/11 セット→2020/9/3割出(卵)
2020/9/24 KBファームAG500cc
2021/2/28 羽化確認
② ♂ 56.2mm
2020/7/11 セット→2020/9/3割出
2020/9/24 KBファームAG500cc
2020/12/31 DOS 3次発酵マット800 12g
2021/6M 羽化確認
③ ♂ 56.2mm
2020/7/11 セット→2020/9/3割出
2020/9/24 KBファームAG 1300cc
2021/2/3 DOS 3次発酵マット800 13g
2021/6M 羽化確認
④ ♂ 60.2mm
2020/7/11 セット→2020/9/3割出(卵)
2020/9/24 KBファームAG500cc
2020/12/31 DOS生オガ800cc 7g
2021/6/M 羽化確認
⑤ ♂ 61.1mm
2020/7/11 セット→2020/9/3割出(卵)
2020/9/24 KBファームAG500cc
2021/1/1 DOS生オガ 800cc 9g
2021/6M 羽化確認
⑥ ♂ 62.5mm
2020/7/11 セット→2020/9/3割出(卵)
2020/9/24 KBファームAG500cc
2020/12/31 グローバルビートルマット 1300cc 11g
2021/7/2 蛹確認11g
2021/9/M 羽化確認
⑦ ♀ 29.9mm
画像省略
2020/7/11 セット→2020/9/3割出
2020/9/24 KBファームAG500cc
2020/12/20 蛹化確認
2021/2/E 羽化確認
⑧ ♀ 32.9mm
画像省略
2020/7/11 セット→2020/9/3割出
2020/9/24 KBファームAG500cc
2021/2/E 羽化確認
⑨ ♀ 36.3mm
画像省略
2020/7/11 セット→2020/9/3割出(卵)
2020/9/24 KBファームAG500cc
2021/1/1 DOS3次発酵マット500cc 5g
2021/5/30 二次利用マット500cc 5g
2021/8/E 羽化確認
⑩ ♀ 37.1mm
2020/7/11 セット→2020/9/3割出(卵)
2020/9/24 KBファームAG1300cc
2021/5/E 羽化確認
5.まとめ
65mm出せませんでした...このラインだけかもしれませんが、菌糸を拒食してる感じで初手からマットで飼育した方がアベレージがもう少し上がったかもしれません。母数が少ないので何とも言えないですが...次世代でも同じ交換パターンで傾向を見てみたいと思います。
(参考)神奈川県産(上)と愛知県産(下)
東と西で頭楯の形状が異なると言われています。
(左)神奈川県産(右)愛知県産
ややV字に凹む神奈川県産と凹みのない愛知県産。あくまで当方所有個体群の特徴になりますのでご参考程度に。