1. はじめに
オオクワガタの仲間の中でも底堅い人気のあるババクルビデンスオオクワガタ(Dorcus curvidens babai)の飼育記録となります。内歯の位置が大歯型でも上方向に付かず、下に位置したまま。一般的なオオクワガタの仲間でいうところの小歯型のフォルムを維持、それにも関わらず最大80mmを超えてくるので、ある程度クワガタを飼育したことがある諸兄姉にとっては異形なんですよね。加えて大顎は弧を描くように強く湾曲し、顎先は刃物のような鋭さを持ちます。個体差はありますが、エリトラが淡く赤味を帯びる個体もいて、個性的なオオクワガタであるところが人気の所以ではないでしょうか。
原産地はベトナム。同国南部の屈指の避暑地であるダラット産のラベルが数多く流通しています。野外レコード75.4mm, 飼育レコード81.0mmですね。とりあえず野外レコード超えを目指して飼育したいと思います。
2.種親紹介
♂ 65mm
♀41mm, 40mm
記録を見ると2020年5月に別血統で入手。羽化直後で雌雄ともに休眠中。オオクワガタは通常羽化してから1年後以降のペアリングが理想的ですが、クルビデンスオオクワガタの仲間は羽化後3−4ヶ月で成熟してしまいますが、コンサバにみて半年後の11月にペアリングさせる予定です。次世代は上述のとおり雌雄別血統なのでCBになります。
3.ペアリング−産卵セット–割出–幼虫飼育
①ペアリング–産卵セット(2020年11月上旬)
Aセット:中ケース使用。加水したホダ木を産卵一番に埋め込み。
Bセット:中ケース使用。加水したホダ木をMaxマットに埋め込み。両セットともに24−5°で管理します。
②割出(2020年12月中旬)
Aセット。産卵痕が材全体に見えています。これは期待。
Bセットはやや乾燥気味で材を齧る様子もなかったので、加水して再セット。それでもイマイチな反応だったので、カワラ材を投入し2021年2月中旬にやっと幼虫を得ることができました。
初令後半のタイミングで満足な数がとれたので打ち止め。
③幼虫飼育
♂の場合、1本目までは菌糸飼育、2本目からはマットにしてみましょうかね。管理温度は18−20°、再セット組もいるので、様子見ながら調整してみたいと思います。
本ライン最大値の30g...70mm後半くらいが期待できるか?
④蛹化–羽化
4.羽化個体紹介
① ♂ 51.8mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/17割出→AG800cc
2021/5/16 DOS生オガ1300cc 22g
2022/1M 羽化確認
② ♂ 64.5mm (種親♀40mm)
2020/11/9セット
2021/2/12割出→AG800cc
2021/5/16 DOS生オガ1300cc 24g
2022/1M 羽化確認
② ♂ 64.7mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2022/1M 羽化確認
③ ♂ 65.8mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/16 DOS生オガ1400cc 27g
2021/9/3 蛹化確認 12.9g
2022/1M 羽化確認
④ ♂ 66.1mm (種親♀40mm)
2021/7/31 DOS生オガ800cc
2021/12/29 DOS生オガ800cc 20.9g
2022/4M 羽化確認
⑤ ♂ 66.6mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/11 DOS生オガ1300cc 28g
2022/1M 羽化確認
⑥ ♂ 67.1mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/17割出→AG800cc
2021/5/16 DOS生オガ1300cc 26g
2022/1M 羽化確認
⑦ ♂ 67.8mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/11 DOS生オガ1300cc 27g
2021/9/3 蛹化確認 14.1g
2021/9/15 羽化確認
⑧ ♂ 68.9mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/11 DOS生オガ1300cc 28g
2022/1M 羽化確認
⑨ ♂ 70.3mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/9 DOS生オガ1400cc 29g
2021/9/3 蛹化 15.7g
2022/1M 羽化確認
⑩ ♂ 71.0mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/9 DOS生オガ1400cc 30g
2021/9/3 蛹化 15.0g
2021/11M 羽化確認
①① ♂ 71.3mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/9 DOS生オガ1400cc 30g
2022/1M 羽化確認
①② ♂ 72.5mm (種親♀40mm)
2021/7/31割出
2021/9/10 AG500cc
2021/12/29 月夜野エレメント1400cc 19.2g
2021/12/29 月夜野エレメント+添加剤(キチン)1400cc 26.7g
2022/6/14 蛹化 16.2g
2022/7/M 羽化
①③ ♂ 72.5mm (種親♀40mm)
2021/7/31割出
2021/9/10 AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント1400cc 20.4g
2022/2/20 DOS生オガ 800cc 30.4g
2022/3/30 蛹化 16.6g
2022/7/M 羽化
①④ ♂ 72.6mm (種親♀40mm)
2021/7/31割出
2021/9/10 AG500cc
2021/11/28 月夜野エレメント1400cc 20.4g
2022/2/20 DOS生オガ 800cc 24.5g
2022/5/M 羽化
①⑤ ♂ 72.7mm (種親♀40mm)
2021/7/31割出
2021/9/10 AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント1400cc 20.4g
2022/2/20 DOS生オガ 800cc 25.2g
2022/5/M 羽化
①⑥ ♂ 73.5mm (種親♀40mm)
2021/7/31割出
2021/9/10 AG500cc
2021/11/28 月夜野エレメント1400cc 21.9g
2022/2/20 DOS生オガ 800cc 28.2g
2022/3/30 蛹化 17.1g
2022/5/M 羽化
①⑦ ♂ 74.5mm (種親♀40mm)
2021/7/31割出
2021/9/10 AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント1400cc 24.0g
2022/2/20 DOS生オガ 800cc 24.3g
2022/7/M 羽化
①⑧ ♀ 40.0mm (種親♀40mm)
2021/7/31 割出
2021/9/10 AG500cc
2022/1/2 DOS生オガ500cc 9.5g
2022/3/19 羽化確認
①⑨ ♀ 40.7mm (種親♀40mm)
2021/7/31 割出
2021/9/10 AG500cc
2022/1/2 DOS生オガ500cc 10.1g
2022/4/M 羽化確認
②⓪ ♀ 41.0mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→AG800cc
2021/5/9 前蛹確認
2021/9M 羽化確認
②① ♀ 42.4mm (種親♀40mm)
2021/7/31 割出
2021/9/10 AG800cc
2022/4/M 羽化確認
②② ♀ 42.7mm (種親♀40mm)
2020/11/9セット
2021/2/12割出
2021/3/11 AG800cc
2021/9M 羽化確認
②③ ♀ 44.0mm (種親♀41mm)
2020/11/9セット
2021/2/7割出→ AG800cc
2021/9M 羽化確認
②④ ♀ 44.2mm (種親♀40mm)
2021/7/31 割出
2022/1/2 AG500cc
2022/1/2 DOS生オガ500cc 11.6g
2022/3/19 羽化確認
5.まとめ
前半の飼育は温度変化の緩急をつけずに管理していたのですが、30g前後まで体重が乗っても暴れを抑止できませんでした。一方で、再セット組から得れた個体群は3本返しを基本として、早めの交換を意識。1本目(500cc or 800cc)、2本目(1300cc-1400cc)で菌糸飼育(18−20°管理)、30g近くまで到達したところで、マットを硬詰したやや小さい容器(800cc等)に投入し24−5°まで加温、一気に蛹化まで持っていきました。これで暴れをある程度抑止できたような印象でした。(一方で、①④や最大個体①⑦は3本目への交換時点で成長がとまっていたのでダメかな?と思っていましたが、加温したにも関わらず羽化スイッチが入らずじっくり成長したようです。これはデータ的には外れ値かもですね)
6.参考資料・資材