1.はじめに
グランディスオオクワガタは、東南アジア広域に3亜種が生息しています。今回飼育したのはミャンマー・インド亜種(Dorcus grandis moriyai)で、同種の中では最も大きくなります。(野外ギネス:91.5mm 飼育ギネス:95mm)原産地では、広葉樹の洞に入っているようで、最近の書籍ですと、BE-KUWA72号で採集風景の写真が掲載されていますので、興味がある方はご覧になってはいかがでしょうか。
予てからDorcus属の最大種はやっておかなければという思いと、ブリード仲間のR氏と一緒に行ったイベントで同サイズ2ペアがリーズナブルに売られており、2人で1ペアづつ購入してインドグランバトルしようか、というようなブリーダーとしての義務感とその場のノリで始めたのが本種です。
2.種親紹介
♂81.0mm
本種は80mm超えてくれるとカッコいいですね。
♀50.0mm
クルビデンスやパリーオオ―の♀を触る機会の方が多いので、50mm超えてくる本種の♀の重厚感に圧倒されます。
上述したイベントにて2020年7月に購入。羽化時期が2020年4月なのでペアリングは翌年です。インド共和国マニプル州ラムカ産。内歯が中間に位置し顎先が大きく湾曲する曲線美が秀逸でございます。威嚇することなく動き回る上に頭が下がりがちなので撮影に難儀します。
3. ペアリング- 幼虫飼育
①ペアリング(2021年4月22日-)
羽化から1年後にペアリング。これは掛かりましたね。
②産卵セット(2021年4月22日-)
カワラ材のLサイズを転がします。芯が残るやや硬めの材を選んだつもりなのですが、少し柔らかめです。掛かっている可能性は高いと思いますが、念のため♂を2-3日同居させます。管理温度は20℃
(2021年5月12日)
セットしてから3週間程。良い感じに齧ってくれています。
③割出(2021年6月27日)
セットして2か月でボロボロになってしまいました。もう少し固いカワラ材を選別すれば良かったですね。
大粒の卵です。
幼虫は初令で割り出すことが出来ました。
5幼虫8卵を回収。産卵にやや難があると言われていることからすれば、まずまずの成果でしょうか。割出した材をミキサーにかけマット状にしたものをプリカに詰めて暫く養生します。
④幼虫飼育
オオヒラタケ菌糸を使用、1本目は800ccに投入、初令からじっくり18℃で飼育することにします。確認できた最大体重は45.2gでした。
⑤ 羽化
割出して丁度1年程で羽化。♂は頭が下がりがちになるので指でサポートしてあげないとカッコよく映らないですね。以下の羽化個体についてもサポートありですので悪しからず…
4.羽化個体紹介
①♂80.5mm
2021/4/22セット→2021/6/27 割出
2021/7/17 KBファーム AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント 1400cc 27.6g
2022/2/20 月夜野エレメント(自詰:添加剤配合)1400cc 37.4g
2022/6/E 羽化
② ♂ 81.3mm
2021/4/22セット→2021/6/27 割出(卵)
2021/8/15 KBファーム AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント 1400cc 30.0g
2022/2/22 月夜野エレメント(自詰:添加剤配合)1400cc 45.2g
2022/6/14 蛹化確認 25.8g
2022/7/8 羽化
③ ♂(不全により死亡のためデータのみ)
85-6mm?
2021/4/22セット→2021/6/27 割出(卵)
2021/8/15 KBファーム AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント 1400cc 30.4g
2022/2/22 月夜野エレメント(自詰:添加剤配合)1400cc 43.6g
2022/7/8 蛹化確認 35.7g
④ ♀ 51.8mm
2021/4/22セット→2021/6/27 割出
2021/7/17 KBファーム AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント 800cc 15.0g
2022/5/M 羽化確認
⑤ ♀ 52.1mm
2021/4/22セット→2021/6/27 割出(卵)
2021/8/15 KBファーム AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント 800cc 19.6g
2022/2/22 月夜野エレメント(自詰:添加剤配合)1400cc 18.2g
2022/5/M 羽化確認
⑥ ♀ 52.3mm
(画像割愛)
2021/4/22セット→2021/6/27 割出(卵)
2021/8/15 KBファーム AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント 800cc 16.9g
2022/2/20 月夜野エレメント(自詰:添加剤配合)1400cc 16.5g
2022/5/M 羽化確認
⑦ ♀ 52.5mm
(画像割愛)
2021/4/22セット→2021/6/27 割出(卵)
2021/8/15 KBファーム AG800cc
2021/11/28 月夜野エレメント 800cc 18.3g
2022/2/20 月夜野エレメント(自詰:添加剤配合)1400cc 19.5g
2022/7/8 羽化確認
5.まとめ
クワガタって頭が下に向いた状態で真上から写真撮影するとカッコよさ10割減ですよね。羽化個体紹介のパートではハンドサポートなしでの撮影が当ブログの運営方針ですが本種は例外です。
高地に生息しているだけあって18℃一貫飼育で順調に生育してくれましたが、13頭のうち羽化不全で半分以上が死亡してしまい寂しいサイクルとなってしまいました(そもそも4♂9♀の比率で♀に偏ってしまっていたのでいずれにせよお粗末でしたが…)蛹体重が35.7gと80mm後半狙えるような個体も出たのですが不全…とりあえず種親を僅かに上回った個体が完品羽化してくれたのでひとまず及第点でしょうか。幼虫が大型化するので、♂の2本目以降の1400ccは食い上がりスピードが速く、心もとない印象でした。反省点として、3本目ボトル投入時に菌糸の劣化が始まっていたものの代替調達するのが面倒だったので構わず投入してしまいました。こういうところは本当によくないないですね。とりあえず種親ペアがまだまだ元気なので、85mmUP目指して再挑戦してみたいと思います。
6.参考資料・使用資材