1.はじめに
今回は自己採集したハチジョウネブトクワガタ(Aegus subnitidus fujitai)の飼育記録になります。本種はネブトクワガタ(Aegus subnitidus subnitidus)の八丈島亜種で原名亜種よりも大顎内歯や腹部の形状等に差異がある、と言われています。並べる比較写真を掲載すればブログコンテンツの質向上に少しは(?)繋がりますし、ネタもある(自己採集の愛知県産原名の死骸はストック中)のですが、展足モチベが全く湧かないダメな筆者をお許し下さい。というわけで、むし社「BE-KUWA 86号 ネブトクワガタ大特集」を買いましょう!
2.種親紹介
♀14.4mm(2022年5月29日採集)
採集記事(最下部にリンクを貼っていますのでお時間あれば是非読んでください)でも触れていますが 、本種の幼虫は様々なエリアでかなりの数を確認したものの、成虫はさっぱり採れない中での唯一の成虫個体だったので、とても嬉しかったです。遠征採集の思い出は飼育の前日譚になるのでそれが飼育継続のモチベアップになったりしますよね。
3.産卵セット-羽化
①産卵セット(2022年6月1日)
クリアスライダー小にRTN社Nマットとヤエヤママルバネクワガタの幼虫飼育で使ったマットを1:1でブレンド。上記の写真では湿らせた水苔が敷かれていますが、湿った林床の倒木の下や沢沿いからまとまった数の幼虫が得られたので、それをイメージしています。管理温度は18-20°です。
自然下では、植物の根が絡むような湿った林床でよく採れました。
②産卵サークルの確認(2022年6月17日)
セットから16日ほどでケース壁面にサークル状の紋様が見えてきました。ネブトクワガタの産卵行動でこのサークルが確認出来ると産卵の期待度が上がります。
③幼虫確認 ・割出(2022年9月13日)
1.4Lのケースから無数の幼虫が見えています。セット時の温度がやや低いかと不安でしたが杞憂でした。
三令初期幼虫。多産な虫としては今回は少なめです(八方美人飼育な筆者には丁度良い数....)
④個別飼育(2022年9月19日)
ネブト大型化飼育において多頭VS個別のどちらが良いか議論は枚挙に
いとまがありません。
とりあえず幼虫が成長していたこともあり、
今回は430cc浅底プリカで個別飼育。
使用マットはRTN社製Nマットという国産ネブト飼育におけるウル
トラスタンダードな
脳死攻勢で臨みます。
管理温度は引き続き18-20°です。
⑤ 蛹化-羽化 (2023年5月21日)
個別飼育から8-9か月程で羽化を確認。小型♂の蛹も確認できたので雌雄の羽化ズレの心配はなさそうですね。
4.羽化個体紹介
① ♀ 16.7mm
② ♀ 18.5mm
③ ♀ 19.4mm
④ ♀ 19.7mm
⑤ ♂ 18.2mm
⑥ ♂ 18.3mm
⑦ ♂ 20.0mm
⑧ ♂ 21.3mm
⑨ ♂ 21.3mm
⑩ ♂ 22.5mm
⑪ ♂ 22.6mm
⑫ ♂ 23.0mm
⑬ ♂ 23.1mm
⑭ ♂ 24.0mm
5.まとめ
ウルトラスタンダードな飼育をした結果、案の定、ウルトラ平凡な飼育結果となりました。ハチジョウネブトは大型個体の作出が難しいと言われている一方で、飼育ギネスは30.2mm…小型種の1mmって中大型種の5mmくらいの感覚なので、F1で早くも打ちひしがれてます。継続すれば高みに近付けるのでしょうか。底なし沼に両足つっこんでいるような気持ちですね…。
6.参考資料
stag-beetle-japan.com