1.はじめに
今回は八丈島特産のハチジョウノコギリクワガタ(Prosopocoilus hachijoensis)の飼育記録になります。幼少期にボロボロになるまで読んでいた1989年出版の小学館 学習百科図鑑「クワガタムシ」には”長歯型は1例しか採集されていない”という記載があったほどでしたが、採集者が増えたからか、50mmを超える個体の採集報告例が増えていったようです。いつか自分でも大歯を手にする感動を味わってみたいものですね。折角の自己採集♀からのブリードになるので、大歯作出を目標に頑張ってみたいと思います。
2.種親紹介
♀ 35.8mm (WD)
斜面を登っていたら朽木からポロっと出てきた自己採集のメス。漆黒の体色と全体的に丸いフォルムが特徴的です。本土ノコと全然違いますね。同産地のオスは採集できなかったので、持腹に期待します。
3.産卵セット-羽化
①産卵セット(2022/6/7)
セットは微粒子マットに黒土をブレンド、加水して粘り気を出させたセット。材を埋め込んでいます。飼育容器は中ケースを使用。管理温度は20℃程。
②卵確認(2022/6/17-)
ケース底面に卵が見えだしました。材を入れずともマットだけでも大丈夫そうです。
③割出、孵化、幼虫確認
再セット分から20頭弱回収。手に余るのでブリード仲間に送ります。
④個別飼育(2022/9/20-)
500cc→800ccボトルの2本リレーをベースにマット飼育でやってみます。管理温度は18-20℃くらい。
3齢幼虫。パッと見るとオスもメスも同じように見えてしまう…これはメスでした。
⑤ 蛹化
蛹化時期が揃ったペアがいたので一安心。
4.羽化個体紹介
① ♀35.6mm
2022/6/7 割出
2022/9/20 KSK 500cc 1.1g
2023/1/10 IT-5 800cc 6.3g
2023/6/16 蛹化確認 4.1g
2023/7/22 羽化確認
② ♀ 40.7mm
2022/6/7 割出
2022/9/20 KSK 500cc 0.7g
2023/1/10 IT-5 800cc 7.9g
2023/6/16 蛹化確認 4.1g
2024/1/M 羽化確認
② ♂ 45.5 mm
(未撮影)
2022/6/7 割出
2022/9/20 KSK 500cc 1.1g
2023/1/10 IT-5 800cc 6.3g
2023/6/16 蛹化確認 4.1g
2023/7/22 羽化確認
③ ♂ 47.8 mm
2022/6/7 割出
2022/9/20 KSK 500cc 1.1g
2023/1/10 IT-5+HOBBY 800cc 7.8g
2023/6/16 蛹化確認 4.6g
2023/7/20 羽化確認
④ ♂ 48.4 mm
2022/E 7 割出
2022/10/8 KSK 800cc 6.0g
2023/7/E 羽化確認
⑤ ♂ 49.4 mm
2022/6/7 割出
2022/9/20 KSK 500cc
2023/1/10 IT-5 800cc 7.8g
2023/6/16 蛹化確認 4.8g
2023/7/22 羽化確認
⑥ ♂ 49.8 mm
2022/6/7 割出
2022/9/20 KSK 500cc 0.6g
2023/1/10 IT-5 800cc 7.8g
2023/6/16 蛹化確認 5.0g
2023/7/22 羽化確認
⑦ ♂ 50.0 mm
2022/6/7 割出
2022/9/20 KSK 500cc 0.9g
2023/1/10 IT-5 800cc 7.5g
2023/6/16 蛹化確認
2023/9/E 羽化確認
5.まとめ
1パレット分くらい手元にあったハズなんですけどいつの間にか減っていました。 あまり落ちた印象はなかったんですけど…今回の飼育記録はかなーりしょっぱいです。大歯にかすりもしませんでした大泣…地域によって大歯が出やすい場所があるらしいですから!!!ハチジョウヒラタのB型のように局地的変異がるじゃないですか、多分それと同じですから!!!(…見苦しいのでこの辺りにしておきましょう…)
正直、2本目ボトル交換から飼育イメージと外れた経過だったので、これはマズいと感じて軌道修正したつもりがダメダメ。本当に自分の技術力の問題なのだなと痛感しました。本種、大歯出すまでにちょっと時間がかかりそうな気がしています…次々回くらいでリベンジ記事を書けるよう頑張りたいですね…。
6.参考資料