1.はじめに
今回は自宅裏山産の本土ヒラタクワガタ(Dorcus titanus pilifer)の飼育記事です。
交雑問題により、飼育レコードを目指す楽しみ方は残念ながら無くなってしまいました。昔から疑念があった登録種であったため、記録剥奪は清々した気持ちもありましたが、飼育屋としては登録対象から外れてしまったのは残念でなりません。とはいえ、自分の生活圏に生息する好きなクワガタを採集し、累代を重ねて飼育最大サイズを目指すというモチベーションは、やはりあります。(え、ないですか!?)
私の場合、本土ヒラタがそれに該当し、実家のある愛知県産と自宅のある神奈川県産について、70mmアップを出すことを目標にブリードしています。(もう何年この目標を掲げているのだろう…)完全に自己満足の記事なので、お役に立つことは少ないかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
2.種親紹介
毎年、自宅裏山でヒラタクワガタを採集しているのですが、2022年は60mmアップが連発する当たり年でした。西日本在住の方からすると、60mmアップで何をそんなに喜んでいるのかと思われるかもしれません。しかしながら、関東地方のアベレージサイズは所詮45-50mm程度なので、関東地方での60mmアップは特大サイズです。この時の最大オスである63mmの個体と、同産地の飼育個体メス37mmをアウトブリードし、70mmを狙っていきたいと思います。もう何年この目標を掲げているのだろう…(2回目)
種親画像
♂ 63mm WD (2022年6月24日採集)
♀ 37mm WF1 (2021年5月下旬羽化)
3.産卵-割出-幼虫飼育-羽化
①割出-幼虫飼育
秋口のセットになったので24-5℃まで加温しました。♀に食べられないよう卵や初令で割出。種親♀の前サイクルでは菌糸飼育が不調だったので、マット飼育にします。使用マットはカブトマットを使用。粗目ホダが多めの銘柄なので、エサ持ちが良く気に入っています。1本目の管理温度は引き続き24-5℃です。2本目で18-20℃まで下げたのち、蛹化・羽化のタイミングで昇温しています。
②蛹化
体重乗りません。
③羽化
スレンダーな個体が多いです。
4.羽化個体紹介
① ♀ 34.4mm
2022/11/25セット
2023/1/23 割出(卵)
2023/5/11 IT-5 800cc
2023/12/E 羽化確認
② ♀ 34.6mm
2022/10/10 セット
2022/11/25 割出(卵)
2022/12/17 IT-5 800cc
2023/8/27 蛹化
2023/12/E 羽化確認
③ ♀ 34.8mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/1/23 IT-5 800cc
2023/8/27 蛹化
2023/12/E 羽化確認
④ ♀ 35.1mm
2022/10/10 セット
2022/11/25 割出(卵)
2022/12/17 IT-5 800cc
2023/8/27 羽化確認
⑤ ♀ 35.4 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出 (卵)
2023/5/11 IT-5 800cc
2024/3/E 羽化確認
⑥ ♀ 35.8 mm
2022/10/10 セット
2022/11/25 割出
2022/11/25 IT-5 800cc
2023/8/27 羽化確認
⑦ ♀ 36.0 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/1/23 IT-5 500cc
2023/9/8 蛹化確認
2023/12/E 羽化確認
⑧ ♀ 36.1 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/1/23 IT-5 500cc
2023/9/8 蛹化確認
2023/12/E 羽化確認
⑨ ♀ 36.7 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/1/23 IT-5 800cc
2023/8/27 蛹化
2023/12/E 羽化確認
⑩ ♂ 52.1 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/1/23 IT-5 800cc
2023/7/1 MD 800cc 13.9g
2023/8/27 蛹化確認 6.1g
2023/9/7 羽化確認
⑪ ♂ 58.0 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出(卵)
2023/5/11 IT-5 800cc
2023/12/22 蛹化確認 12.2g
2024/2/E 羽化確認
⑫ ♂ 58.3 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/1/23 IT-5 500cc
2023/7/1 MD 800cc 14.2g
2024/2/E 羽化確認
⑬ ♂ 58.5 mm
2022/10/10 セット
2022/11/25 割出(卵)
2022/12/17 IT-5 800cc
2023/8/27 蛹化確認
2023/12/E 羽化確認
⑭ ♂ 60.5 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/1/23 IT-5 500cc
2023/7/1 MD 800cc 15.6g
2023/11/14 蛹化 10.1g
2024/2/E 羽化確認
⑮ ♂ 61.0 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出(卵)
2023/5/11 IT-5 800cc
2023/11/17 ホビーマット 800cc 16.4 g
2024/6/E 羽化確認
⑯ ♂ 63.2 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出
2023/5/11 IT-5 800cc
2023/11/14 ホビーマット 800cc 17.0 g
2024/4/3 蛹化 10.8g
2024/9/E 羽化確認
⑰ ♂ 63.6 mm
2022/10/10 セット
2022/11/25 割出
2022/11/25 IT-5 800cc
2023/7/11 MD 800cc 16.4g
2023/12/3 前蛹
2024/6/E 羽化確認
⑱ ♂ 64.2 mm
2022/11/25 セット
2023/1/23 割出(卵)
2023/5/11 IT-5 800cc
2023/11/14 ホビーマット 800cc 16.5 g
2025/3/5 羽化
⑲ ♂ 65.2 mm
2022/10/10 セット
2022/11/25 割出(卵)
2023/1/20 IT-5 500cc
2023/5/11 IT-5 800cc 10.9g
2023/11/17 IT-5 800cc 14.9g
2024/7/30 蛹化 11.9g
2024/11/E 羽化確認
5.まとめ
70mmを目標に掲げ、大口を叩いたものの、残念ながら届きませんでした。ただ、種親メス世代の飼育記事では65mmを目標としていたこともあり、今回は及第点とさせてください。
今回はアウトブリードを試みましたが、インブリード時と同様に細身で羽化してくるため、体長は比較的伸びやすい傾向にあります。愛知県産や福岡県産のヒラタのように、ダイナミックに体重が乗るタイプではないため、ヒラタを飼育しているというよりも、コクワを飼育しているような感覚になります。
羽化サイズにはバラつきがあるため、あと2~3サイクルは回し、平均65mm、3本返し程度でまとめつつ、そのうち1~2頭は70mmに到達する形が理想です。(切実)
今回も最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。