
スラウェシ亜種(Prosopocoilus giraffa nishiyamai)♂
1.はじめに
今回飼育したのは、ギラファノコギリクワガタのスラウェシ島亜種(Prosopocoilus giraffa nishiyamai)です。不人気ギラファ三大巨頭といえば、ボロブドゥール、ティモレンシス、そしてこのニシヤマイ。ニシヤマイ好きの方、断言してしまってすみません。私の個人的な見解ですので悪しからず。ボロクソ言っていますが、内歯の形状も特徴的で個人的には好きです。不人気の証拠?として、ボロブドゥール、ティモレンシスでさえレコード登録されていますが、唯一登録がない(2025年11月時点)のが本種です。どうも95mm前後に壁があるようですが、一向に登録される気配はありません。皆さん大台の100㎜に乗らないと何となく申請しない、みたいな感じになっている?ような気がします。
まずは、95mmを目標に飼育してみたいと思います。
2.種親紹介
♂ 91.3㎜

♀ 45.0mm
ラベルはスラウェシ島 パル・パロロ。♂は他亜種と比べると最大内歯と鍵状内歯が多く本種の特徴がしっかり出ています。スラウェシ島以外では、サルー島やスラヤール島も同亜種とされていますが、特にスラヤール島産の内歯の付き方が本種のそれと違うので、ギラファ好きな方はブリードして並べてみるのも面白そうですね。
3.産卵セット・幼虫飼育
① 産卵セット(2024年3月4日)

アイリスオーヤマの6.6Lバックルケースを加工したものにカブトマットを固詰めしたものでセット。管理温度は25℃

セットして1週間ほどで卵を確認。
②割出 (2024/5/22)
予想していたよりも少なめでした。
③ 幼虫飼育
1本目は菌糸飼育。2本目以降はマットに。管理温度は18℃まで下げました。
2本目を食いあげる幼虫。1500ccだとちょっと足りないですね。
④ 羽化
ニシヤマイらしい大腮の形状。
4.羽化個体紹介
① 46.6 mm

2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/8/19 IT-5 800cc
2024/10/16 蛹化
2024/12/M 羽化
② 48.9mm
2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 800cc
2024/8/19 IT-5 800cc 16.3g
2024/12/30 羽化確認
③ 49.1 mm

2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/9/27 IT-5 800cc 15.9g
2024/12/30 蛹化確認
2025/1/30 羽化確認
⑤ ♂ 66.4mm

2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/9/27 IT-5 800cc 4.5 g
2025/5/30 羽化確認
⑥ ♂ 77.8 mm
2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/9/23 生オガ発酵マット 1400cc 22.5 g
2025/4/29 羽化確認
⑦ ♂ 90.3 mm
2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/9/23 IT-5 1400cc 21.6 g
2025/7/30 羽化確認
⑧ ♂ 90.3 mm

2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/9/23 MT160 1400cc 24.7 g
2024/11/25 ホダ+IT-5 1300cc 31.5 g
2025/3/19 羽化確認
⑨ ♂ 90.8 mm

2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/9/27 IT-5 1400cc 28.7 g
2025/5/9 蛹化確認 21.2g
2025/7/30 羽化確認
⑩ ♂ 91.6 mm

2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 800cc
2024/10/4 MT160 1400cc 31.0 g
2024/11/25 ホダ木+IT-5 1300cc 31.9 g
2025/4/M 羽化確認
⑪ ♂ 92.3 mm

2024/3/4セット→5/22 割出
2024/5/22 MT160 500cc
2024/8/19 エレメント 1400cc 28.3 g
2024/9/23 IT-5 2300cc 28.2 g
2024/12/20 前蛹
2025/1/18 蛹化確認
2025/3/E 羽化確認
5.まとめ

目標95mmに対して92mmと遥か遠く及びませんでした。閾値を語るレベルに至らず、極めて遺憾でございます。1本目ですが、割出してすぐに、被膜が回るまでしっかり熟成させておいたシワタケに投入。シワタケの適温としてはやや高めの24-5℃で管理していましたが、熟度も良い具合に合ってきたのか、初齢序盤からでもしっかり摂取している様子も観察できたので、シワタケ菌糸の相性は悪くはなさそうでした。ここから温度を下げて引っ張る計画でしたが、中盤から食い渋るような動きを見せたので、本種はあまり下げても良いことなさそうです。2本目は、オスは1400ccに投入。終盤は低温DVに見舞われながらも健気に食いあがってきたので、容器サイズは2300cc以上が馴染む感じです。とりあえず次世代をセットしたところなので、今回サイクルの反省を生かして再チャレンジしたいと思います。
P.S.本種を譲っていただいたBさん、ありがとうございます。そして冒頭でボロカスに扱ってしまいましたが、もちろん愛の裏返しですのでお許しください。
6.参考資料・資材
![BE-KUWA(79) 2021年 05 月号 [雑誌]: 月刊むし 増刊 BE-KUWA(79) 2021年 05 月号 [雑誌]: 月刊むし 増刊](https://m.media-amazon.com/images/I/518USMdQTUL._SL500_.jpg)
