
1.はじめに
今回飼育したのは、フォルスターフタマタクワガタ(Hexarthrius forsteri forsteri)になります。英国の昆虫学者・博物学者であるフレデリック・ウィリアム・ホープが1840年に記載。同国の植物学者であるエドワード・フォルスターに献名。

国内で流通しているのは、インド・メガラヤ州産ラベル。メガラヤ州は、インド北東部に位置する山地・高原地帯の州で、州都は Shillong、平均標高はおおよそ1,200 〜 1,500 m程度、平均気温は年平均で13 〜 22 ℃程度の冷涼な気候なことに加えて、Shillong付近の平均年間降水量は約 3,636 mm/年 と記録されていますが、州全体、特にバングラデシュ側のMawsynramなどの多雨地域では、年間平均で 約11,000 mm 以上 に達する地点もあり、世界最高クラスの降水量です。日本でこのレベルに近い年間降水量の地点はほぼなく、類似するのは「多雨地域」ではありますが日本全国で平均しても1000〜2500 mm程度であるため、メガラヤ州の降水量は「非常に多い」と言えます。本種の観察記録が同地近隣で見つかっていることからも、やや低温・多湿気味の飼育を意識して取り組みたいと思います。
2.種親紹介
♂ 65.5mm

♀ 41.4mm

♀ 39.3mm
M氏から即ブリトリオでいただいたのですが、ペアリング前にオスが落ちてしまったので、オークションで即ブリオスを調達しました。Mさん、この場を借りて御礼申し上げます。
3.ペアリング-産卵セット‐割出‐幼虫飼育‐羽化
①ペアリング(2023年9月15日)

インドネシア等、島嶼地域のフタマタよりも本種をはじめとした大陸系フタマタクワガタはメスを殺しがちな印象です。ヒラタほどではないですが...今回はトラブルなく目視でペアリングを確認。
②産卵セット

一晩水を吸わせたホダ木を使用。爪が少し入るくらいの硬さです。床材はホダ木の粉砕マットを無加水で敷いたもの。使用ケースはダイソーの5Lケース。
③産卵-割出(2023年12月*)*39.3mm♀のみ

セットしてから1か月で有精卵を確認。
多産であることが知られています。材をマメに交換すると100くらいは軽く取れそうですね...

卵を確認してからさらに1か月で初令幼虫を得ました。

材を割る前にマットから出てきた幼虫。多産ですね...
④幼虫飼育

初令の段階で添加二次発酵マットにブナ生オガをブレンド、加水した800ccボトルに投入。ここまで一貫して18-16℃飼育です。
⑤ 蛹化

オスは産卵してから蛹化まで16-18か月くらいかかってますね。
⑥ 羽化



70mm中‐後半がボリュームゾーンでした。ブログにまとめるより先に販売する機会もあり全個体を写真に収めることが出来ませんでした。当ブログのポリシーから外れてしまったのが心残りですね。
4.羽化個体紹介
① ♀ 36.7 mm

2023.9.15産卵セット
2024.8.17 割出→DOS生オガ800cc
2025.6.14 蛹化確認
② ♀ 40.4 mm

2023.9.15産卵セット→2023.12.9割出
2023.12.9 二次発酵マット+ブナ生オガ 800cc
2025.6.14 羽化確認
③ ♂ 66.1 mm

2023.9.15産卵セット→2023.12.9割出
2023.12.9 二次発酵マット+ブナ生オガ 800cc
2025.1.22 DOS生オガ 800cc 11.4g
2025.9.07 羽化
④ ♂ 68.9 mm
2023.9.15産卵セット
2024.8.17 割出→DOS生オガ1400cc
2025.6.14 蛹化確認
2025.9.15 羽化確認
⑤ ♂ 71.5 mm
2023.9.15産卵セット→2024.3.31割出
2024.3.31 二次発酵マット+カブトマットブナ生オガ 800cc
2025.1.22 DOS生オガ 800cc 12.9g
2025.9.07 羽化
⑥ ♂ 75.0 mm

2023.9.15産卵セット→2024.3.31割出
2024.3.31 二次発酵マット+ブナ生オガ+ビートルマット 800cc
2025.1.22 DOS生オガ 800cc 13.6g
2025.9.07 羽化
⑦ ♂ 76.5 mm

2023.9.15産卵セット→2024.12.9割出
2024.3.31 二次発酵マット+ブナ生オガ 800cc
2025.1.13 DOS生オガ+ホダ木マット 800cc 17.9g
2025.6.14 蛹化
2025.8.31 羽化
⑧ ♂ 77.0 mm

2023.9.15産卵セット→2024.3.31割出
2024.3.31 二次発酵マット+ブナ生オガ+ビートルマット 800cc
2025.1.22 DOS生オガ+ホダ木マット 1300cc 17.7g
2025.6.14 蛹化
2025.8.31 羽化
⑨ ♂ 79.0 mm
2023.9.15産卵セット→2023.12.9割出
2023.12.9 二次発酵マット+ブナ生オガ 800cc
2024.10.14 DOS生オガ+ホダ木マット 800cc 13.3g
2025.8.31 羽化確認
⑩ ♂ 81.3 mm(参考記録)

2023.9.15産卵セット→2023.12.9割出
2023.12.9 二次発酵マット+ブナ生オガ 800cc
2024.10.14 DOS生オガ+ホダ木マット 800cc 17.3g
2024.10.14 DOS生オガ+ホダ木マット 800cc 23.2g
2025.6.14 蛹化
2025.8.31 羽化確認
⑪ ♂ 81.8 mm
2023.9.15産卵セット→2024.3.31割出
2024.3.31 二次発酵マット+ブナ生オガ+ビートルマット 800cc
2024.10.14 DOS生オガ+ホダ木マット 1300cc 17.5g
2025.8.31 羽化
5.まとめ

最大個体は次世代ペアリングで酷使した後に撮影したため、フセツが飛びまくってます。島嶼のフタマタはそうでもないのですが、大陸系はペアリングするとすぐにボロボロになり死んでしまいます。もっと早く撮影しておけば良かった…。


今回飼育の反省点としては、マットの劣化を意識しすぎるがあまり、初手でブナの生オガを高比率で配合してしまったので、序盤の育成が非常にスローでした。終盤いい感じに朽ちてきたので、尻上がりに体重が乗っていく感じは楽しかったのですが、1本返しには足りない容量だったので、2本交換を余儀なくされ、羽化ボトルも暴れ対策を考慮しなければならず面倒でした。手間も増えた上にいたずらに飼育期間も伸びてしまったので、同じ餌を使い同じ結果を求めるのであれば2000ccくらいの容量で一本返しすればよかったかなと。尖った餌を使った分、雌雄の羽化ズレがあまりなかったことは良かったですが、次回サイクルでもう少しマイルドな配合にしてみたいと思います。温度帯は自分の飼育環境に合っているので、マット配合や使用容器容量のパラメーターを考慮しつつ、次回飼育では85mmを目標に取り組みたいと思います。
6.参考資材・資料
![BE-KUWA(87) 2023年 06 月号 [雑誌]: 月刊むし 増刊 BE-KUWA(87) 2023年 06 月号 [雑誌]: 月刊むし 増刊](https://m.media-amazon.com/images/I/61XGh3zIcUL._SL500_.jpg)