1.はじめに
今回はハチジョウヒラタクワガタ A型 (Dorcus titanus hachijoensis) の飼育記録まとめです。自己採集からの次世代(種親の採集記事は最下段にリンクがありますのでご覧ください)となり、個人的な思い入れの強い種類になります。本種の野外レコードは60.3mm、飼育レコードは脅威の73.0mmです。レコードサイズ、異次元ですね…
書籍でしか天然大型個体を見たことないので、サイズよりも天然個体のフォルムに近い成虫を羽化させるべく飼育に臨みたいと思います。
2.種親紹介
♂:35.0mm ♀:27.1mm
♂は第一内歯が顎の基部すぐ近くなのでA型ですね。♀は10mと離れていない場所で採集しているので、♀もA型の血を引いてそうです。
3.産卵-幼虫飼育-蛹化-羽化
①産卵セット(2022/6/7)
♂も同居してセット。中プラケを使用、加水したホダ木を園芸用の黒土をベースにしたブレンドマットに埋め込んでいます。
②割出-幼虫飼育 (2022/7/14-)
セットをしてから1か月で1幼虫回収のみ。18-20℃がデフォルトのブリードルームに置いてしまったので、寝てしまったようです。
冬になってから24-5℃まで加温して再度スイッチを入れたところ、年明けにようやくまとまった数がとれました。大半は材から出てきました。幼虫飼育ですが、18-20℃で管理、意図的にメインマットに黒土を混ぜ栄養価を落として管理していきます。
③蛹化 (2023/4/16)
蛹室が見えたので体重計測。やはりA型です。
④羽化 (2023/5/2-)
50mmほどの羽化個体。
今サイクル最大個体が羽化
完全に固まりました。ハチジョウヒラタらしい形です。
4.羽化個体紹介
① ♀ 27.4mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/12/3 羽化確認
② ♀ 28.8mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/12/3 羽化確認
③ ♀ 32.6mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 1300cc
2023/12/3 羽化確認
④ ♀ 33.1mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2024/4M 羽化確認
⑤ ♀ 33.2mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 1300cc
2023/8/28 羽化確認
⑥ ♀ 33.5mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/8/28 羽化確認
⑦ ♀ 34.2mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/8/28 羽化確認
⑧ ♀ 37.5 mm
2023/12/8 IT-5マット+黒土 800cc
2024/2/15 蛹確認
2024/2/19 羽化確認
⑨ ♂ 43.6 mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/8/28 羽化確認
⑩ ♂ 47.5 mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/8/28 羽化確認
⑪ ♂ 50.0 mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/8/28 羽化確認
⑫ ♂ 51.5 mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2023/8/28 羽化確認
⑬ ♂ 52.6 mm
2022/9/5 割出
2022/10/17 ほっとラボマット800cc
2022/11/4 KSK800cc
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc 10.1g
2023/4/15 蛹化確認 5.9g
2023/8/28 羽化確認
⑭ ♂ 60.0 mm
2022/10/10 セット
2023/1/25割出
2023/1/25 IT-5マット+黒土 800cc
2024/1/4 蛹化確認 8.6g
2024/1/28 羽化確認
5.まとめ
色々な方々の本種飼育ブログを拝読すると、野外品の次世代で急に太くなるように感じられ、書籍で見る天然の同サイズのフォルムとは少し違う印象を受けました。冒頭でも触れていますが、採集した♂がとても小さかったので天然大型個体に近い♂が見てみたいなと思い、黒土をブレンド、意図的に幼虫に与える餌の栄養価を落として飼育してみることにしました。モチのよいカブトマット+低温管理でじっくり飼育を志向したところ、小型個体群は7-8か月くらいで羽化した一方で、雌雄それぞれ最大個体の60mmと37mmは13-14か月程で羽化してきたので概ね思惑通りでした。細みで天然な?雰囲気をもつ個体が結構羽化してきた気がするのと最大♂の還元率もまずまずだったので個人的には満足な結果となりました。次世代の飼育をどうするかちょっと悩ましいですが、レコードが異次元すぎるのでサイズではなく形に拘ってゆるーく飼育を楽しもうと思っています。
6.参考資料