1.はじめに・種親紹介
今回の飼育記録は、SNSで仲良くさせていただいているY氏が2020年8月に採集した個体からブリードしたものになります。(この場を借りて御礼申し上げます。いつもありがとうございます)Y氏のホームフィールドの豊かさとご本人の採集センスの掛け算で毎年特大サイズを採集されており、このとき頂いた♂は72mmをゆうに超える耳状突起が良く発達した立派な個体で、自宅裏山で採れた最大サイズと並べて愕然としたものです。(冒頭写真)
種親 ♀ 39.7mm (2020年8月30日採集)
上述した♂は観賞用で送っていただいたのですが、♀もご厚意で同梱いただいていました。
2.産卵セット-幼虫飼育
① 割出 (2021/3/13)
2021年1月に発酵マット+黒土でセット。採集してから5ケ月以上経過していたのでダメ元で組んだところ、数は5卵と少ないですが採卵に成功。ゼリー交換、保湿等の管理をしっかりしていたのが良かったのかもしれませんね。セット温度は18-20℃。
②孵化 (2021/3/18)
無事孵化。孵化してから2か月ほどプリカで管理、個別飼育へ移行します。
管理温度は16-18℃で一定で、1本目は投入後半年で交換、2本目以降はマットの劣化具合を見ながら管理していました。地元産のミヤマとは違って成長速度が遅くじっくり育つ感じです。
孵化から15か月で蛹化。最長は31か月。うーん長い!
ミヤマの蛹は造りが良いですね。
羽化間近です。
人口蛹室で無事に羽化。フジ型ですかね。
3.羽化個体紹介
① ♂ 72.7mm
2021/1/M セット→2021/3/12割出
2021/5/7 虫吉マット二次利用 800cc
2021/12/28 MDマット改 800cc 16.4g
2022/5/15 前蛹確認
2022/7/E 羽化確認 (羽化まで17か月)
② ♂ 74.8mm
2021/1/M セット→2021/3/12割出
2021/5/7 虫吉マット二次利用 800cc
2021/12/28 MDマット改+DOS生 800cc 15.9g
2022/10/22 蛹化 15.3g
2022/11/23 羽化 (羽化まで21か月)
③ ♂ 75.6mm
2021/1/M セット→2021/3/12割出
2021/5/7 虫吉マット二次利用 800cc
2021/12/28 MDマット改1500cc 17.1g
2022/11/19 One In a Million プロトマット+黒土 1400cc 18.4g
2023/9/22 蛹化確認 16.4g
2023/10/E 羽化 (羽化まで32か月)
5.まとめ
2ライン体制で似たような条件下でブリード、30頭以上を羽化させた神奈川県産では1頭たりとも70mmに達しませんでしたが、今回の福岡県産は、たやすく70mmを超えてくれました。N数が3頭と少なすぎるのですが、サイズの満足感は高かったです。ただ、如何せん羽化までが長い!神奈川県産はほぼ1年1化でしたが、福岡県産は孵化から羽化まで、①が17か月、②が21か月、③が32か月…低温管理に対して素直に従ってくれるのはありがたいのですが、32か月はちょっとやり過ぎ感ありますね。2年1化くらいでコントロールしたいところです。同産地の野外♀を今夏Y氏からいただいており再チャレンジ中です。
5.参考資料・資材