1.はじめに
今回飼育したのは超メジャー種のパラワンオオヒラタクワガタ(Dorcus titanus palawanicus)になります。オオヒラタは好きな属の一つでありながらこれまで本種を一度も飼育したことがありませんでした。どうせブリードするのであれば、天然個体からブリードしてみたかったのですが、コロナ渦まっただ中で入荷もなく、とりあえずブリード品の幼虫から飼育してみることにしました。種親情報が「109系統 ♂103mm, ♀フリー」からの幼虫を10頭オークションにて購入。109系統って何ですかね。WILD109mm♂とブリード品♀をルーツとする意味なのか...詳しい方ご教示下さい...購入当初の幼虫の写真を撮影し忘れましたが、2齢幼虫で個別飼育開始するのはベストなタイミングでした。とりあえず105mmくらいを目標に飼育してみます。
2.幼虫飼育-羽化
3-4本交換を前提とし、最初の1-3本は菌糸飼育、最終瓶はマットで羽化させるようなリレーを考えています。飼育温度は蛹化までは一貫して18℃管理とします。
①1本目(容器選定-菌糸飼育)
幼虫の最大体重が70-80gに達する虫なので、少し大きめの容器(1100cc乃至は1500cc)を使用、♂と判別できたものを1500ccに投入しました。1本目はオオヒラタケ系ですが手詰めの在庫品を使ったので銘柄はバラバラです。
②2本目~
66.8gと良い感じに体重が乗っています。60gを超えてくると怪獣ですね。迫力があって、大型種にハマる人が続出するのは頷けます。1400ccではなく2300ccにすれば良かったかも。この後は、微粒子発酵マットをプレス機で固詰めした3250ccへ投入します。
③蛹化
蛹室を形成する際に幼虫がマットを押し固めることで、マットが嫌気発酵し、明るい茶色に変色するのですが、蛹化しているかどうかがボトル外部からよく見えなかったのでやや不安でしたが、耳を当てるとローリングしている音がしていたので露天掘り。
飼育人口の多い種類なので、ネット上のデータベースが充実しています。某羽化予想計算によると105-108mmのレンジで羽化するそうです。
④羽化
オオヒラタ系は人口蛹室だろうが露天掘りだろうがどっちでもちゃんと羽化する印象ですね
100mmは間違いなく超えてそうです。
エリトラの伸長スピードよりも乾燥スピードが上回ってしまったからか、時間の経過とともに羽パカしてしまった。
最大個体はエリトラに気泡があります。さて何mmになったのか、、、
3.羽化個体紹介
①♀47.9mm(頭幅14.4mm)
2022/2/B 割出
2022/4/6 KBファーム AG900cc 15.2g
2022/7/8 KBファーム AG800cc
2022/10/23 羽化確認
②♀47.9mm (頭幅14.6mm)
2022/2/B 割出
2022/4/6 KBファーム AG900cc 15.4g
2022/7/8 月夜野エレメント AG800cc
2022/10/22 羽化確認
③♀48.3mm (頭幅14.5mm)
2022/2/B 割出
2022/4/6 KBファーム AG900cc 15.4g
2022/7/8 月夜野エレメント AG800cc
2022/10/22 羽化確認
④♀48.5mm(頭幅14.2mm)
2022/2/B 割出
2022/4/6 KBファーム AG1500cc
2022/9/12 蛹化
2022/10/23 羽化確認
⑤♀49.9mm (頭幅14.7mm)
2022/2/B 割出
2022/4/6 月夜野エレメント 1500cc
2022/9/12 羽化確認
⑥♂ 全長89.6mm
2022/2/B 割出
2022/4/6 月夜野エレメント1500cc
2022/9/12 恵栽園クワガタ発酵マット 2300cc 46.7g
2022/11/3 蛹化確認 24.3g
2022/12/M 羽化確認
⑥♂ 全長103.5mm (体長: 69.2mm,頭幅: 32.0mm, 胸幅:33.4mm 顎率:0.33)
2022/2/B 割出
2022/4/6 KBファームAG1500cc
2022/9/12 恵栽園クワガタ発酵マット 2300cc 56.5g
2022/9/12 恵栽園クワガタ発酵マット 2300cc 57.5g
2023/4/27 蛹化確認 38g
2023/5/M 羽化確認
⑥♂ 全長108.2mm (体長: 71.5mm,頭幅: 33.1mm, 胸幅:33.8mm 顎率:0.34)
2022/2/B 割出
2022/4/6 月夜野エレメント 1500cc
2022/7/19 D.D.A ism F-ZERO(クヌギ100%) 1400cc 57.7g
2022/9/12 恵栽園クワガタ発酵マット 3250cc 66.8g
2023/4/27 蛹化確認 40.6g
2023/5/M 羽化確認
4.まとめ
初飼育にしては割と良好な結果だったので満足度は高めです。1本目の割り出しをもう少し早めるとともに、2本目でやや大きめの容器を選択すれば良かったかな、と思ったりしています。他種ブリードで使用した某メーカーの菌糸在庫があったのでそれを流用したのですが、菌糸の持ちが非常に良く、低温環境でもキノコの発生が抑制されていました。幼虫の食い上げが良く今後も継続して使っていきたいと思いました。菌糸慣れしているラインにはマッチしているような感じです。今後継続するかどうかについては、⑤も⑥の個体も比較的還元率が良くて、ボディバランスが良くカッコいいのですが、エリトラに皺や気泡が出ていたのが少し気になっています。
冒頭でも触れた通り、今回のブリード結果の再現するための道のりは厳しそうですが、天然個体から再チャレンジしても面白そうなので、悩ましいところです。
5.参考資料・資材