1.はじめに
スジブトヒラタクワガタは過去に何度かブリード(6.参考資料・資材参照)していますが、最大で60mm中盤程度と中々大きくならず悶々としておりました。一方で飼育レコードは近年更新が続いています。血統が確立されてきたような印象ですね。同じような条件で複数ラインを何サイクルか回してみると、大きくなったり、太くなったり、ライン毎の傾向が出てくるように思えます。同じような形質をもつ個体を掛け合わせ、長い年月をかけてそれを固定化した経験がないので偉そうなことは言えませんが、虫にも確実に血統はあると私は信じています。そこで本種をこれまで大きくできなかったのは私の技量の問題ではなく、血の問題だ!!(自ら追い込みます…)として、決意新たに本種をブリードしてみたいと思います。
2.種親紹介
♂ 68.8mm (2020年7月羽化)
♀ 41.8 mm (2020年8月羽化)
奄美大島産 CBをオークションにて購入。前々レコード血統の血が入っているとのこと。
58mmの♂との比較。大顎の内歯の付き方や厳つさが段違いです。70mmに迫る♂は格好良いですね。
3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化
①ペアリング(2021年5月5日)
顎を縛りコバシャ小に投入。羽化から1年近く経過しておりすぐに交尾を確認出来ました。
②産卵セット(2021年5月5日-)
良好な反応を確認出来たので、デジケース小にマットだけで産卵セットを組みます。
③割出(2021年6月5日)
卵が確認できたので割出。6卵程。やや物足りなかったのですが、飼育スペースの問題からセット解除。
④幼虫飼育(2021年8月-)
初手は菌糸(KBファーム AG)を使用します。序盤は24-5℃、途中から18-20℃で温度を下げて管理します。
⑤蛹化-羽化(2022年5月-)
蛹化。65mm以上は狙えそうです。
4.羽化個体紹介
① ♂ 60.0mm
2021/5/5 セット→2021/6/5 割出
2021/8/5 KBファーム AG500cc
2022/1/2 DOS 生オガ500cc 13.8g
2022/5/15 羽化確認
② ♂ 65.3mm
2021/5/5 セット→2021/6/5 割出
2021/7/21 KBファーム AG500cc
2022/5/9 KSK 800cc 捨て瓶 18.9g
2022/9/7 羽化
③ ♂ 67.0mm
2021/5/5 セット→2021/6/5 割出
2021/8/5 KBファーム AG500cc
2021/12/9 月夜野エレメント800cc 17.1g
2022/5/15 蛹化確認 14.6g
2022/7/M 羽化
④ ♂ 69.0mm
2021/5/5 セット→2021/6/5 割出
2021/8/5 KBファーム AG500cc
2021/12/29 KBファーム AG500cc 19.3g
2022/2/20 月夜野エレメント(添加剤入) 1400cc 20.3g
2022/5/15 蛹化確認 14.9g
2022/7/M 羽化
⑤ ♂ 45.4mm
2021/5/5 セット→2021/6/5 割出
2021/8/5 KBファーム AG500cc
2022/1/2 DOS 生オガ500cc 11.0g
2022/5/15 蛹化確認
2022/7/M 羽化
⑥ ♂ 46.1mm
2021/5/5 セット→2021/6/5 割出
2021/8/5 KBファーム AG500cc
2022/1/2 DOS 生オガ500cc 10.8g
2022/5/15 蛹化確認
2022/7/M 羽化
5.まとめ
僅かですが親越えとなる69mm、♀判定してしまった最小♂を除いて65mmを超えてきたので、血の力を大きく感じる結果となりました。倍くらい抱えればよかったなあ…
横から見た69mm
69mmの2本目の菌糸交換ですが、菌糸の在庫の関係で1本目に続いて500ccに再度投入するという無茶をしています。加えて詰めてから4か月経過した1本目と同じボトルという具合なのですが、素直に食べていました。(ちなみに67mmの2本目も詰めてから3-4か月経過しています)同じ不朽進度で幼虫に違和感を与えなかったからか分かりませんが、2本目も見据えた菌糸詰めをしても面白いかも?と思いました。再現性難しい試みですが、クルビやパリーなど交換時に暴れやすい他種でも展開してみたいですね。
良血を手に入れることが出来たのは間違いないので70mm突破を目指し地道に続けていきます。
6.参考資料・資材