1.はじめに
今回飼育したのはフィリピンに幅広く分布している大型のツヤクワガタ、アルケスツヤクワガタ(Odontolabis alces)です。
その中でも体長・体重共に最大クラスになるミンダナオ島産♀を飼育仲間のT氏よりいただきました。ありがとうございます。(T氏の本種の飼育記事も末尾にリンクを貼らさせていただきました) 今回の飼育記録はその次世代をブリードしたものになります。
2.種親紹介
84mmの♂とペアリングした♀をブリード
① ♀ 55.8 mm
② 53.6 mm
3.産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化
① 産卵セット (2022/5/23)
黒土とビートルマットのブレンド。加水しつつ中ケースに無加圧で投入。
②割出 (2022/6/7)
多産なダールマンツヤクワガタの仲間の中でアルケスが一番よく産む、という話はよく聞きますが本当によく産みます。430ccプリカに10卵づつ小分けして20℃環境で管理します。
② 幼虫飼育
430ccプリカで多頭飼育した初令幼虫。
個別飼育では様々なカブトマット、生オガ発酵マットをトライアル的に使用
頭幅17mm越えの幼虫。
♂は40-50g前後で中ケースに移行します。もう少し小さい個体は3200ccへ。物凄い食いっぷりです。
♀も大型個体を狙っているのでダイソーの5Lケースも一部使用しましたが、蛹化前後の徘徊でフタをガッツリ食い破られました…
③蛹化
羽化目前の極太個体。
大型のツヤクワガタは羽化の際に頭が持ち上がらずにそのまま死んでしまうことがありますが、今回はどうでしょう…
無事持ち上がりました。
こちらは細身の個体
4.羽化個体紹介
① ♀ 52.5 mm
2022/10/18 One in a million プロトマット 1400cc
2022/11/26 IT-5 1400cc
2024/3/E 羽化確認
② ♀ 53.1 mm
2022/10/24 One in a million プロトマット 430cc
2023/2/4 IT-5 + ビートルマット 1300cc 6.0g
2024/2/17 蛹化確認
2024/4/M 羽化確認
③ ♂ 87.5 mm
2022/12/27 マスターズ 1400cc
2023/3/28 DOS生+ビートルマット 中ケース 42.0g 16.2mm
2024/3/E 羽化確認
④ ♂ 88.1 mm
2022/6/7 割出
2022/12/15 One in a million プロトマット 1400cc 2.8g
2023/4/1 One in a million プロトマット + DOS生 + KSK 中ケ 45.6g 16.1mm
2024/1/16 蛹化確認
2024/3/E 羽化確認
⑤ ♂ 90.9 mm
2022/6/7 割出(卵)
2022/12/15 One in a million プロトマット 1400cc 2.6g
2023/4/23 IT-5 中ケ 42.9g 16.3mm
2024/1/17 蛹化確認 34.0g
2024/3/E 羽化確認
⑥ ♂ 97.0 mm
2022/12/15 One in a million プロトマット 1400cc 6.8g
2023/3/10 ビートルマット 中ケ 47.4g 17.5mm
2024/1/16 蛹化確認 40.1g
2024/1/21 羽化確認
5.まとめ
最大は97mmでした。まるで戦車のような極太中歯個体です。
90mmの個体。
太い個体が多いとされるミンダナオ産の特徴が出ています。
中ケースに移行してから想像以上のスピードで食い上がっており、マットの状態が悪くなったことで幼虫がヒネてしまったことが原因だと考えていますが、終齢や前蛹期でめちゃくちゃ落ちてしまいました。特に♂の死亡率が顕著(⑥より大型個体もヒネで3頭落ちました。当該3個体以外で⭐︎になった個体たちも中ケで餌切れしてる感じ。3200ccボトルは言わずもがな壊滅...)で♀の撮影モチベも低く、やや寂しい羽化個体紹介となってしまいました...。今回、残念ながら長歯は出ませんでしたが、大きくするための条件は掴んだので、次世代が楽しみです。
6.参考情報
■T氏アルケスツヤクワガタ飼育ブログ
アルケスツヤクワガタ 飼育記 (2サイクル目) : テツのツヤクワ素人飼育 (livedoor.blog)
■むし社 ツヤクワガタ特集号