1.はじめに
ボルネオ島のホソアカクワガタ代表格であるモンタネルスホソアカクワガタ(Cyclommatus montanellus montanellus) の飼育記録です。本種はボルネオ北部に生息、南部には亜種のmagnificusが生息しています。小内歯や大顎基部の形状が異なるので大歯であれば見分けがつきますが短歯で見分けることは私には無理です...飼育レコードは76.2mmである一方で、野外最大は80mmを超えるので大型キクロの部類に入るのではないでしょうか。Wild Prideさんのtwitter画像検索でエグい個体が見れます。ブリード品だと短歯型をよく見かけますね。とりあえず中歯の作出を目標に取り組んでみたいと思います。
2.種親紹介
2020年3月13日に極小2ペアを格安(送料別3,000円也)で購入。(サバ州クロッカー山脈産 CBF2 )♂は30ミリ弱、♀は20ミリ前半の極小です。小さい個体は雌雄の羽化ズレが緩い場合が多いのでブリードがしやすいのでオススメです。まあ私はホソアカ累代品の産卵苦手なんですケドね...
3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化
①ペアリング(2020年3月23日、)
この状態で2-3日同居させます。本当に小さい…
②産卵セット(1回目:2020年3月26日 / 2回目:2020年4月24日)
1回目は加水した産卵一番とホソアカ幼虫飼育で使用したLBマットをミックスして中ケースにセット。2回目セットは小ケースに1回目と同じマットを使用、霊芝材の木片を埋設。
③割出(1回目:2020年5月5日 / 2回目:2020年6月3日)
1回目セットの幼虫が見え出した時点で割出。ここまでの管理温度は18℃です。
16頭を回収。2回目からは4卵11幼虫でした。
④幼虫飼育(2020年5月-)
1本目はカワラ500、マット500 or800のパターンでの個別飼育で臨みます。若齢からのカワラは馴染まないのか暴れたり落ちたりする個体が多かった印象でした。カワラは私にとっては中々扱いづらい...2本目では、自作マットとLBマットの1:1でミックス、かなり加水したものをメインに使用します。体重が乗っていたり頭幅のある個体を選別し、16℃設定のセラーへ投入し管理。2本返しを前提としました。
⑤蛹化-羽化(2020年11月-)
18℃管理していた個体から順次蛹化、羽化していきます。
セラー管理組は2021年1月中旬から蛹化開始、大歯に片足つっこんだような個体が出てきました。やはり低温が大歯にするためのキーファクターになりますね。それでは以下、羽化個体をざざっとご紹介していきます。
4.羽化個体紹介
① ♂ 38.4mm
2020年5月5日割出
2020年5月25日 大夢カワラ500(暴れ)
2020年5月27日 LBマット500
2020年11月17日 蛹化確認
2020年12月3日 羽化
② ♂ 43.2mm
2020年5月5日割出
2020年5月25日 大夢カワラ500
2020年5月27日 LBマット800
2020年11月17日 前蛹
2020年12月中旬羽化
③ ♂ 48.9mm
2020年5月5日割出
2020年5月25日 LBマット800
2020年10月27日 LBマット+オリジナルマット1400 (5g)
2021年1月中旬羽化
④ ♂ 46.5mm
2020年5月5日割出
2020年5月25日 LBマット500
2020年8月28日 LBマット800 (5g)
2020年11月16日蛹化確認
2020年12月初旬羽化
⑤ ♂ 47.4mm
2020年5月5日割出
2020年5月25日 LBマット800
2020年10月27日 LBマット+オリジナルマット1400 (5g)
2020年11月17日 前蛹
2020年12月中旬羽化
⑥ ♂ 42mm
2020年5月5日割出
2020年5月25日 大夢カワラ500
2020年10月27日 LBマット1400 (2g)
2021年3月18日割出
⑦ ♂ 59.5mm
小内歯が消失してしまっている個体です。羽化直後は60超えていましたが見事に縮みました...
2020年5月5日割出
2020年5月25日 LBマット800
2020年10月27日 LBマット+オリジナルマット1400 (7g)
2021年1月23日 蛹化確認 (5g)
2021年2月中旬羽化
⑧ ♂ 54.5mm
小内歯はどこでしょうか...
2020年6月3日割出→LBマット500
2020年10月27日 LBマット+オリジナルマット1400 (5g)
2021年3月8日羽化確認
⑨ ♂ 57.5mm
赤い色合いが強めで個人的には一番好きなカラータイプ。小内歯も僅かに見えます。
2020年6月3日割出→LBマット800
2020年10月26日 LBマット+オリジナルマット1400 (5g)
2020年4月上羽化
⑩ ♂ 59.1mm
サイズは3番手ですがこのサイクルで最もモンタネルスっぽいフォルムのお気に入り個体。
裏面。
正面。良い面構え。
2020年6月3日 割出→LBマット800
2020年10月27日 LBマット+オリジナルマット1400 (7g)
2021年3月中旬羽化
⑪ ♂ 59.7mm
今回サイクル最大個体。太いですね...顎も弧を描いてしまって勿体ない...
2020年5月5日割出
2020年5月25日 LBマット500
2020年10月27日 LBマット+オリジナルマット1400 (4g)
2021年3月中旬羽化
⑫‐⑯ ♀ 25.0 - 26.5mm
2020年5月5日割出
2020年5月25日 LBマット1300
2020年11月17日 蛹化確認
2020年12月13日羽化確認
5.まとめ
内歯がもっと発達していればより良かったのですが小内歯の鋸歯が明確に出て、ある程度見映えがする個体を出すことが出来ました。顎が伸びた⑦-⑪の個体は2本目以降のボトルは加水量を多めにした上で、16℃設定にしたセラーで管理していたものになります。1本目までは18℃で管理していましたが、交換タイミングが遅きに逸していた感は否めず、かなり早く加齢してしまう印象でした。若齢ですぐに個別にて低温飼育するのが第一条件と思います。
赤味の強い個体。
同腹でも様々なカラーバリエーションが楽しめます。
やはり小内歯が発達してナンボの虫やな...
次回サイクルでは65以上を狙ってみたいところですね。