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クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

アラガールホソアカクワガタ(パラワン島 ブルックスポイント Mt.ガントン産)CB(Aライン) 飼育記録まとめ

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アラガールホソアカクワガタ 大歯型の♂

1.はじめに

フィリピンを代表する美しいホソアカクワガタ。野外レコードは70mmを越えるのにブリードしてみると全っ然大きくなりまへん。このブログはじめて2サイクル目の記事 (1サイクル目は下部「6.参考資料」ご参照いただけると幸いです) になりますが、今回はどうでしょうか...前回は56.1mmが最大だったのでそれを上回る個体を出したいところです。

2.種親紹介

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2020年3月中旬羽化の56.3mmと51.3mmの♂を使用

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♀は羽化ズレしてペアリングが上手くいかず (ホソアカの累代ホント苦手...) 累代危機に瀕しましたが、Y.H stag beetles ゆうさんから同産地同時期羽化 3♀をヘルプいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化

①ペアリング(2020年7月13日)

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目視でペアリング。56.3mmの♂は未成熟なのか(羽化後4か月経過しているのですが…)使い物にならず51.3mmにてペアリング。

②産卵セット→割出

◆セット1回目(2020年7月15日→10月7日)

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川口商会の無添加産卵マットを加水、小ケースに詰めてセット。  

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8月に入り、ケースから幼虫が複数見えるように。

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10月6日に割出。20頭得ることができました。

◆セット2回目(2020年10月7日→12月4日)

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1500ボトルへ再セット。1か月程でボトル壁面から幼虫が見えだします。

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ボトルの産卵セットはスペースもマット量も抑えることができますが、割出が大変ですね。ブロー容器でやれば良いのでしょうが…14-5頭を回収。

③幼虫飼育(2020年10月初旬-)

マットオンリー。菌糸は使いません。自作マット(生オガ ブナ100%)とLBマット、ビートルマットのブレンド、虫吉マット(850cc既成ボトル)の3種類を使用、交換前提の飼育、1本返し前提の飼育と色々と試してみようと思います。

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当初は自作マット100%で飼育しようと考えていましたが、かなり粗めの素材だったため既成マットとブレンド。加水量はかなり多め。 

500㏄で割出から2か月経過した幼虫。ここまでの飼育温度は18℃程。800ccに交換し、ここからセラーへ投入。16℃で管理します。

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セラーに入れて約6か月が経過。10g程か

⑤蛹化-羽化(-2020年7月28日)

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大歯型の蛹。60mmはなさそう

4.羽化個体紹介

① ♂ 35.6mm 

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2020年7月15日セット

2020年10月7日割出→虫吉マット850cc

2021年6月下旬 自力ハッチ

② ♂ 44.8mm
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2020年7月15日セット

2020年10月7日割出→虫吉マット850cc

2021年6月下旬 自力ハッチ

③ ♂ 45mm
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2020年9月27日セット

2020年12月8日 自作マット+LBマット1300cc

2021年6月下旬羽化

④ ♂ 45mm

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2020年7月15日セット→10月7日割出

2020年10月8日自作マット500cc 

2020年12月8日 自作マット+LBマット800cc 2g

2021年6月下旬羽化

⑤ ♂ 46.9 mm
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2020年7月15日セット→10月7日割出

2020年10月8日虫吉マット850cc 

2021年6月下旬羽化

⑥ ♂ 47 mm

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2020年7月15日セット→10月7日割出

2020年10月8日自作マット+LBマット1400cc

2021年6月下旬羽化

⑦ ♂ 50 mm
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2020年9月27日セット

2020年12月8日 自作マット+LBマット800cc

2021年6月下旬羽化

⑧ ♂ 50.3 mm
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2020年9月27日セット

2020年12月8日 自作マット+LBマット1300cc

2021年6月下旬羽化

⑨ ♂ 52 mm

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2020年7月15日セット→10月7日割出

2020年10月8日自作マット500cc 

2020年12月8日 自作マット+ビートルマット1300cc 4g

2021年7月初旬羽化

⑩ ♂ 52 mm
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2020年11月9日セット→12月4日割出

2020年12月4日 自作マット+LBマット800cc

2021年7月上旬羽化

①① ♂ 52.6 mm
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2020年7月15日セット→10月7日割出

2020年10月8日自作マット500cc 

2020年12月16日自作マット+LBマット800cc 4g

2021年6月下旬羽化

①② ♂ 52.7 mm
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2020年7月15日セット→10月7日割出

2020年10月8日自作マット 500cc 

2020年12月16日自作マット+ビートルマット1300cc 4g

2021年6月下旬羽化

①③ ♂ 52.8 mm
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2020年11月9日セット→12月4日割出

2020年12月4日 自作マット+LBマット800cc

2021年7月上旬羽化

①④ ♂ 53.9 mm
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2020年9月27日セット

2020年12月8日 自作マット+LBマット800cc

2021年6月下旬羽化

①⑤ ♂ 54.7 mm
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2020年9月27日セット

2020年12月8日 自作マット+LBマット800cc

2021年7月下旬羽化

①⑥ ♂ 55 mm
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2020年9月27日セット

2020年12月8日 自作マット+LBマット800cc

2021年7月28日蛹化確認 5g

2021年8月上旬羽化

①⑦ ♂ 56.0 mm
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2020年9月27日セット

2020年12月8日 自作マット+LBマット800cc

2021年7月下旬羽化

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顎先が変形してしまった個体。他にも2-3頭...

①⑧ ♂ 57.6 mm
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2020年11月9日セット→12月4日割出

2020年12月4日 自作マット+LBマット800cc

2021年8月上旬羽化

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50mm後半になると頭部が発達しスクエア顎がたまりませんね。

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大変良いのですが...60mmに届きませんでした泣

♀は500cc or 800cc 1本返しでやりましたが自力ハッチ個体を大量に干からびさせてしまいました...累代、販売、譲渡分は確保できました

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5.まとめ
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ボトル越しに見えた大きな幼虫を見るにつけ60mm 超えを期待していたのですが...前回サイクルは更新したのでまあ良しとします...今回使用したマットは、十分に加水した自作マット8:既成マット2の割合でミックスしたものと、既成ボトル(無添加菌床ベースオガマット)を使用しましたが、好成績だったのは前者でした。後者は水分量が本種には少なすぎたようで全て小型で羽化。ナタを振るうと水が飛び散るような沢の材からホソアカ幼虫が得られる等の記載がありますが、こんな感じを妄想 (近所の沢沿いに転がってる倒木で現地写真ではありません) 

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なのでかなーり加水、詰圧はやや緩め。餌持ち、劣化防止の観点から自作マットは生オガベースを使用。やはり水分量と餌持ちがポイントになりそうです。一方で、幼虫の環境適応がイマイチ上手ではないのか、やや小さい容器(800ccくらい?)の方が結果が良かったように思います。小さい容器に加水量大にして劣化を抑えるって両立難しいんですよね...次回どうしよ...

前回の温度管理は20℃前後でほぼ一定としていましたが、今回は途中から16℃設定に切り替えて飼育期間を伸ばしてみました。前回最大個体はセットから1年弱で羽化したのに対し、今回はセットから僅か9か月弱で羽化したんですがね...16℃環境下で活発に活動していたので更に低くても良いような印象も受けました。パラワン島の山めちゃくちゃ標高あるわけではないのだけれどなあ...

6.参考資料

stag-beetle-japan.com