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クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

スラウェシオオヒラタクワガタ(スラウェシ本島産)WF1 飼育記録まとめ

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スラウェシオオヒラタクワガタ (Dorcus titanus typhon

1.はじめに

f:id:kohya0727tj:20210607112341j:plain 今回はスラウェシオオヒラタクワガタDorcus titanus typhon)になります。これまでオオヒラタ系は真面目に飼育したことがなく今回が初挑戦になります。幼少時代に名和昆虫博物館で標本を買ってもらい、自分の中ではオオヒラタ=セレベスヒラタクワガタ(当時)くらいの強い憧れがあり、まず飼育するのであれば本種というのが選定理由です。インドネシア スラウェシ島中南部やペレン島西部等に本種が生息しており、地域による歯型変化が楽しめます。一般的には中部産の内歯は中央より上に位置し、南部産はやや下に付く個体もいるようでバラツキがあるようです。ペレン島は原名亜種と本種とで東西で棲み分けをしているようで、しっかりとしたラベルを集めてスラウェシ島及び近隣島嶼部に生息しているヒラタクワガタをマップ化したような標本箱でもあれば是非見てみたいところです。

2.種親紹介

♂83.1mm

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♀35mm

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オークションでWDを1500円程で購入。安定の安さですね。10年前と比べればこれでも値段が上がってはいますが…内歯が真ん中に来る典型的なスラウェシオオヒラタのフォルムですね。

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フィリピン北-中部等に生息するオオヒラタクワガタDorcus titanus imperialis)と歯型が似ていますが、頭楯の形状が異なるので判別は容易です。左が本種、右がフィリピン産のもので、本種の方がフィリピン産のものよりも平坦な形状をしているのが分かります。

3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化

①ペアリング- 産卵セット(2020年2月初旬-)

2/4 持腹期待で小ケースにマット詰めただけで組んだものの、掻き回すのみで不発。

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2/21-3/1 同居ペアリングの上、柔らかいカワラ材を埋め込み、25℃まで昇温させ再セット。

② 割出(2020年4月-)

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 4/10 半ば諦めかけていたものの幼虫確認。

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4/13 割出をしたところ4卵10幼虫を回収。ほぼ材から回収。野外品のヒラタは外国産国産問わず、材を入れた方が良い結果がでるような気がします。今回残念なのは、腹部が透明になっている所謂「ブヨブヨ病」に罹患している幼虫が4頭出てきてしまいました。

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2週間後確認したところ同幼虫は全て死亡。孵化した幼虫含め8頭体制となります。

③幼虫飼育(2020年4月-)(飼育温度20℃)

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8/24バンブー800へ投入していた幼虫の菌糸交換。8頭のうち、更に4頭が落ちてしまい、4頭体制へ…♂と思われる幼虫はAGを詰めた3250ccと1500ccへそれぞれ投入します。最大は32gとボチボチな感じです。

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11/9 AG1500に入れていた個体が食いあがってきたのでブナベース+菌糸カスを発酵させて自作したマット3250へ投入。こちらは前述の個体よりも少し小さく37g。

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12/20 AG3250へ入れていた個体が食いあがってきたので月夜野ベーシック3250ccを詰めた瓶へ交換。交換時体重は46g。

1/10 蛹化スイッチが入ってしまったようで暴れてしまい、捨て瓶へ投入したものの時すでに遅く、46g→38gまでのダイエット…12/20の時点でマットに入れてしまえば良かったと後悔するも時すでに遅し。蛹化を促すため、20℃から25℃まで昇温。

④蛹化-羽化(2021年2月25日-)

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暴れた個体の蛹化が確認できたので、露天掘り。顎ズレしてしまっていますね。

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人口蛹室へ移し、羽化まで管理します。蛹体重は29g。

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この個体は2021/4/15に無事羽化しました。

一方、全く動きが見えなかった自作マットボトル個体は、2021/3/12に掘り出し。

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既に羽化していました。11/9に投入していたので、投入後3か月程度で蛹化したような感じでしょうか。

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f:id:kohya0727tj:20210607122818j:image親よりも一回り大きく育ってくれました。

4.羽化個体紹介

① ♂ 91.6mm 

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2020年3月1日セット

2020年4月13日割出→200CCプリンカップ養生(産卵一番)

2020年4月27日 バンブーインセクト 800cc

2020年8月24日 KBファーム AG1500 (27g)

2020 年11月9日 オリジナルマット 3250cc (37g)

2021年3月12日 羽化確認

② ♂ 92.7mm 

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2020年3月1日セット

2020年4月13日割出(卵)→200CCプリンカップ養生(産卵一番)

2020年4月27日 バンブーインセクト 800cc

2020年8月24日 KBファーム AG1500 (32g)

2020 年12月20日 月夜野ベーシック 3250cc (46g)

2021 年1月10日捨てビン マット1400cc(38g)

2021 年2月24日蛹化(29g) 

2021年4月15日 羽化確認

③ ♂ 41.1mm

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2020年3月1日セット

2020年4月13日割出(卵)→200CCプリンカップ養生(産卵一番)

2020年4月27日 バンブーインセクト 800cc

2020年8月26日 DOS生オガ 500(8g)

2021年3月24日 自力ハッチ

④ ♀ 40.8mm  

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2020年3月1日セット

2020年4月13日割出→200CCプリンカップ養生(産卵一番)

2020年4月27日 バンブーインセクト 800cc

2020年8月26日 LBマット(8g)

2021年3月24日 羽化確認

5.まとめ

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初飼育のオオヒラタでしたが、序盤でブヨブヨ病に罹患した幼虫がたくさん出てしまったので、4頭の羽化報告というなんとも寂しい結果になってしまいました。

f:id:kohya0727tj:20210607123141j:imageとはいえ、あまり大型が期待できないと言われる本島産だったので、80後半くらいあれば御の字かな?と考えていましたが、2♂ともに90mmUPを出すことができ個人的には満足しています。今回オオヒラタの世界へ少しだけ足を踏み入れましたが、幼虫が大食漢で日々成長する様子がよく分かるのでそれを観察するのも楽しかったですし、蛹の他種を圧倒する存在感など、オオヒラタの底堅い人気があるのも納得でした。機会があればフィリピン方面の別亜種も今後やってみたいところです。

6.参考資料