1.はじめに
今回は石垣島於茂登岳産のヤエヤママルバネクワガタ(Neolucanus insulicola insulicola)の飼育記録になります。
本種は、石垣島・西表島に原名亜種、与那国島亜種のヨナグニマルバネクワガタ(Neolucanus insulicola donan)がいます。石垣島産は山塊によって微妙な違いがあると言われており、太さ・長さのバランスが良いとされる於茂登岳*産を飼育してみたいと思います。*於茂登岳って沖縄県最高峰(525m)なんですね。今回調べて初めて知りました。とりあえず60mm越えを目指して飼育してみたいと思います。
2.種親紹介
2020年10月末にオークションにて購入。2022年9月30日から本種はヤフーオークションの運営側の自主規制により個人からの購入が出来なくなります。
♂54mm
やや小ぶりな個体ですが大歯型です。顎はストレートタイプでしょうか。ワインレッドのボディカラーが美しいですね。
マルバネは横からのアングルがとてもそそるクワガタですよね。
下唇基節に美しいビロード状の毛が生えています。
♀47mm (4.9g)
重量感があり良いコンディションです。
3.ペアリング‐産卵‐幼虫飼育‐蛹化‐羽化
①ペアリング(2020年11月12日)
成熟していれば容易に交尾の確認が出来るので良いですね。独特のマルバネ臭はしません。
②産卵セット
グローバル ビートルマットに山桜の赤枯れマットを加水してブレンドします。国産マルバネの中で最も食性が広く、飼育者によっては赤枯れ不要と主張される方もいますが、私はおまじないのつもりで入れています。24-5° で管理。
③採卵(2020年11月20日-)
セットしてから1週間程で沢山採卵出来ました。マルバネなどマット産みのクワガタは、踏み固めてしまい、産卵数が伸び悩むことがあるので、定期的に採卵してマットの状態を確認する方がよいかと思います。
④孵化(2020年12月8日-)
採卵してから3週間程で孵化。管理温度は23-5°
このままプリカで初令まで養生します。
⑤幼虫飼育(2021年1月15日-)
大量の初令後期の幼虫。中ケースにて多頭飼育します。引き続き管理温度は23-5°
⑥ボトル投入(2021年5月8日-)
途中、コバエが大量発生、喧嘩等で頭数が激減。⑤の時点で個別飼育でも良かったかも...ここから1300-1500ccの個別ボトル飼育へ移行、管理温度を18-20°まで下げます。しかしマルバネは雌雄判別に難儀しますね。
⑦蛹化
♀の写真は撮影できませんでしたが、♂の蛹化を確認(2022年6月15日)
⑧羽化
♀は2022年3 月中旬頃に自力ハッチを確認。
大歯の♂も羽化してきました(2022年7月中旬)
横からの一枚。
4.羽化個体紹介
① ♂60.0mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 17g
2022/5/10 自力ハッチ確認
② ♂60.0mm (写真無し/データのみ)
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 18g
2022/5/10 自力ハッチ確認→ボーベリアにより死亡
③ ♂60.0mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 17g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/5/10 自力ハッチ確認
④ ♂62.9mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1400cc 7g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/6/15 蛹化 14.2g
2022/7/M 羽化
⑤ ♂63.0mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1400cc 9g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/6/17 蛹化 14.4g
2022/7/M 羽化
⑥ ♀ 49 .7mm(画像無し)
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 17g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/3/M 自力ハッチ確認
⑦ ♀ 51 .0mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 14g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/3/M 自力ハッチ確認
⑧ ♀ 51 .1mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 14g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/3/M 自力ハッチ確認
⑨ ♀ 51 .8mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 17g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/3/M 自力ハッチ確認
⑩ ♀ 52 .0mm
2020/11/12セット
2021/1/15 中ケース多頭(グローバルビートルマット)
2021/5/8 ビートルマット1300cc 21g (2021/11-12頃、途中継ぎ足し)
2022/3/M 自力ハッチ確認
5. まとめ
一応目標値は達成したものの、初令後期の段階で中ケース多頭飼育を敢行するなど、こうして振返ってみるとやや雑な飼育でした。2年1化をターゲットとし、面倒くさがらずに430cc もしくは 460cc プリカで3か月程個別飼育した後に1300cc以上のボトル投入、この段階でもう少し温度を下げ(16-18°)、マットの継ぎ足し量をやや多くするか、その頻度を上げても良かったかなぁと。そうすればもう一段大型が狙えたような気がします。とはいえ石垣島産らしい個体が出せたので満足感は高かったですね。機会があれば別産地もブリードしてみたくなりました。産地毎に大歯を並べた標本を見ながら悦に入りたいものです。
6.参考資料・資材