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クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

スズムラホソアカクワガタ (フィリピン共和国 パラワン島 マンタリンガハン産)F5 飼育記録まとめ

スズムラホソアカクワガタ
Cyclommatus suzumurai)♂

1. はじめに

スズムラホソアカクワガタ(Cyclommatus suzumurai)の飼育記録をまとめました。本種はフィリピン パラワン島全域に生息、大顎湾曲が強く小内歯が無数に発現する南部産に比べ、中北部産は大顎が伸び、小内歯は不明瞭になるようです。今回の産地はパラワン島南部に位置する同島最高峰のマンタリンガハン山(2085m)産。

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最大40mm台の小型ホソアカですが、白っぽい粉のような微毛が体中を覆っており外見が特徴的です。

2. (番外編)前回サイクル飼育記事

実は今回2サイクル目でして、1サイクル目を飼育記事としてまとめていませんでした。前回サイクルは産卵セットのまま羽化させてしまい、飼育記事にする気が起きませんでした…せっかくなので前回サイクルのネタも織り込みながら今回サイクルをまとめていきたいと思います。

①種親紹介(羽化時期不明/2020年12月購入)

初代の種親(F3)は極小ペア(♂23mm×♀17mm)をイベントにて格安で購入。

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購入後、4か月以上寝ていて途中加温したのですがなかなか起床せず、このまま絶えるか?と思いだしたところ後食開始、ペアリングではメートガードも確認でき、とりあえず一安心しました。

②産卵セット(2021年4月20日)

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すぐにDAISOパン屋さんに加水した産卵一番を詰めてセット。管理温度は20℃ほど。

③羽化個体掘出(2022年3月1日)

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セットを組んでから11か月経過…惰性ブリーダーの象徴である産卵セット1本返しをやらかしました。自力ハッチしている個体がいる上に♂に偏ってしまい累代継続に暗雲が垂れ込めます…

④羽化個体紹介

産卵セットでそのまま羽化までもっていってしまったので、最大で39mm。

 ♂32.2mm

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♂33.9mm

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♂35.8mm

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♂36.9mm

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♂37.3mm

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♂38.7mm

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♂39.0mm

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♀未計測

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3.種親紹介

♂37.3mm × ♀フリー 

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自力ハッチしていたので即ブリと判断します。

4.産卵セット-幼虫飼育-羽化

①産卵セット(2022年4月2日)

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デジケースに産卵一番を加水、保湿用に水苔を敷き、同居セット。♂はサイズの割に狂暴なので♀殺しは注意した方が良いかもしれません。

②割出(2022年6月18日)

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そこそこ数がとれました。F5回せそうです。判定が難しいですが♂と思われる幼虫は460ccプリカ、♀は120ccプリカに投入します。管理温度は18-20℃

③羽化

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♀は2022年10月頃に羽化を確認。

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♂は2022年12月頃に羽化を確認。

5.羽化個体紹介

①♂39.4mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 120ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

②♂ 40.9mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 120ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

③ ♂41.5mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 120ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

④♂ 42.4mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 120ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

⑤♂ 42.7mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 120ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

⑥♀ 21.4mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 460ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

⑦♀ 21.6mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 460ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

⑧♀ 22.5mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 460ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

⑨♀ 22.0mm

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2022/4/2 セット

2022/6/18 割出→恵栽園クワガタ発酵マット+川口商会クワガタマット 460ccプリカ

2022/12/5 羽化確認

6.まとめ

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♂だと思って460ccプリカに投入した幼虫が全て♀で羽化し、♀だと思って120ccプリカに投入した幼虫が全て♂で羽化しました。雌雄判定の節穴っぷりを晒してしまいました。正直、小型種の判定マジで分からないので誰かコツを教えて欲しいです。120ccでもほぼ40mmUPの大歯で羽化してくれたので、飼育レコードの44.8mmも見据えて次回は250ccくらいで試してみましょうかね。産卵セット一本返しの初回サイクルで40mm超えなかったことを踏まえると個別管理してナンボですね。

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羽化した♂を改めて見ると、大顎の湾曲が緩く、小内歯も消失気味です。ラベルは南部産ですけど、これ実は北中部産なのでは?集積地の兼合いで外国産のラベルはザル、というのはあるあるなので…

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頭でっかちで、コロコロ転がってうまく撮影させてくれません。顎をしっかりと閉じて動かなくなる個体もおり、撮影に難儀しました。

2サイクル回してみましたが、羽化ズレもなく飼育は容易な印象でした。粉吹系ホソアカの中でも小型で地味な種類ですが、近年野外品の入荷も見られないので大切に管理していきたいと思います。

7.参考資材・情報