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クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

アマミヒラタクワガタ(奄美大島産)WF1 飼育記録まとめ

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アマミヒラタクワガタ(Dorcus titanus elegans) 

1.はじめに

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アマミヒラタクワガタ(Dorcus titanus elegans)は奄美大島加計呂麻島、請島、予路島、喜界島に分布しており、野外レコードは75mm、飼育は最大80.2mmに達する国産種としては大型のヒラタクワガタになります。

野外での活動時期:5月-10月(発生ピーク:8月-9月)

生態:ミカン、タブ、スダジイアカメガシワの樹液に集まり、60mm以下の中・小型の個体数が多く、奄美大島では島内全域に生息

特徴:♂の内歯は大顎中央付近にあり、中-小型♂と♀は上翅にスジ   

今回、奄美大島世界自然遺産に登録された2021年7月に飼育記事を書いていますが、採集もブリードもする立場としては複雑な心境です。今後、どのような規制が制定されるか分かりませんが、ラベルがしっかりした個体のラインは大事にブリードしていきたいところです。

2.種親紹介

ラベルがしっかりした…云々述べましたが、今回は採集・ブリード仲間であるR氏による採集個体なので詳細産地までバッチリです。自己採集、仲間の採集・飼育個体のブリードは特別感があって良いですよね。きちんと管理しよう!大型個体を出そう!という気になります…どの種も遍くそんなモチベーションがあると良いんですがね…次世代では74-5mmクラスを出すことを目標にブリードします。

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♂42mm

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♀35mm

本土ヒラタ目線だと比較的大型かと...

R氏採集ブログはこちら↓

http://blog.livedoor.jp/rui_kuma/archives/55862963.html

アマヒラの採集風景。昼間にヒラタが洞に絡むことなく樹液を啜る光景は南西諸島感があって良いですねぇ。

3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化

①ペアリング-産卵セット(2020年8月8日-)

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 中ケースに産卵一番と他種幼虫飼育で使用した使用済みDOS生オガマットをブレンドし、柔らかくなりすぎて使い道のないカワラ材を埋め込んでセット。管理温度は25度。

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セットして20日程でケース底面に卵を確認。この時は最低10はとれたと思っていたのですが…

割出(2020年9月26日-)

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3幼虫2卵を回収。ほとんど材から出てきました。天然ヒラタは材があると反応してくれるような気がします。 しかし数が伸びません...この後も再セットしましたが、結局取れませんでした。WD♀だからかな!?(小声...) 卵も孵化しなかったため、3頭体制になります。

④幼虫飼育(2020年9月26日-)

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1本目は菌糸(オオヒラタケ)500ccへ投入。その3か月後(2020年11月29日)に2本目へ交換。2♂1♀です。♂は2本目以降も菌糸飼育、♀はマット飼育へ切換ます。

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3本目への交換。2020年2月20日。幼虫体重から類推すると72-3mmでしょうか。ここまでの管理温度は一貫して20度ほど。

⑤蛹化-羽化

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2021年5月29日に蛹化を確認した♂ 右後脚が開いてしまっています。こうなると羽化不全してしまう可能性が高く、羽化時の補助(手術)が必要なのですが、うまく立ち会えるでしょうか…

4.羽化個体紹介

① ♂ 73.5mm 

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2020年9月26日割出→KBファームAG500c

2020年11月30日 KBファーム AG1300cc 21g

2021年2月20日 月夜野エレメント/既成ボトル1400cc25g

2021年5月29日 羽化確認

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掘り出したところ既に羽化していました。

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本種の特徴が良く出ている太い体型です。 

② ♂ 71.7mm 

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2020年9月26日割出→KBファームAG500c

2020年11月30日 KBファーム AG1300cc 20g

2021年2月20日 月夜野エレメント/既成ボトル1400cc 24g

2021年5月29日 蛹化確認 17g

2021年6月25日 羽化確認

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上述した通り後脚がはじめから開いていたことで羽を寄せ上げれず不全してしまった感じです。やや顎は細いですが美しい個体だっただけに残念。立ち会いたかった...

③ ♀ 44.5mm 

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2020年9月26日割出→KBファームAG500c

2020年11月29日 AG割カス+DOS生オガ800cc 11g

2021年5月29日 羽化確認

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本種の♀飼育レコードは50mmなので遠く及びませんが、大型♀として羽化してくれました。2本返しや余裕ある容器選択が奏功したようです。薄いスジが美しい...

5.まとめ

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目標の74-75mmには届きませんでしたが、ペア成立したので次世代も目標据え置きで継続確定です。2♂1♀うち1♂不全はブログ記事としては少し寂しかった...捌くことを考えると大量に抱えるわけにはいきませんが、♂は5-6頭くらいは羽化させたいところです。初手の容器容量を大きくして少し管理温度を上げ、2本目以降は少し温度を下げて幼虫期間を延ばしてみたいと思います。今回は温度変化をつけずほぼ20℃で管理していたのに8か月で羽化してきましたし、めちゃめちゃ成長が早いので管理を怠らないようにしないといけません。かといって思いっきり温度を下げても本種には馴染まないと思うので、特大を出すのは神経を使う飼育になりそうですね。羽化してから2-3か月しか経過していませんが、後食開始しているので、秋口からブリードを始める予定です。

6.参考資料・資材

- KBファーム AG

http://www.wraios.co.jp/kinshou.htm

-月夜野エレメント

https://stag.tsukiyono.co.jp/products/detail/53