1.はじめに
今回飼育したのはアカアシクワガタ(Dorcus rubrofemoratus)で、ブリード仲間のR氏との共同採集個体の次世代サイクルです。採集記事はブログ末尾をご参照ください。本種は南西諸島等の離島を除き、全国的に生息する山地性の虫で、標高のある場所では普通に見られるクワガタです。近縁種はアローコクワガタやヤマダクワガタ等が知られていますが、本種の学名・和名の通り、脚部から付け根腹部が鮮やかな朱色で、性格は獰猛ですけど....奥ゆかしい「和」な雰囲気を醸しだすクワガタです。エリトラがワインレッドカラーの強い個体もいてその点も魅力的ですが、個人的にグッときたのは最大内歯手前に鋸歯が発現する個体...作出されたAsanumaさま曰く兄弟全てではないものの大型化すると出てきたのだとか。こんな特徴を持つ個体群もいるとは奥が深い虫です。
Asanumaさま、譲渡先のぷろたえてぃあさまに貴重な写真をご提供いただきだきました。この場を借りて御礼申し上げます。
飼育レコードは61.7mmというモンスターサイズが登録されています。産地は和歌山県か奈良県産(高野山?)だったかと思うのですが、西日本エリアの方が大型化するような話は聞いたことが...今回飼育するのは北関東産…出オチ感しかありませんが、気を取り直して書き進めます。
2.種親紹介
2020年9月4日 採集 ♀27mm
2020年9月20日 採集 ♂33mm
雌雄ともに青黒い感じの色合いです。
3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化
①ペアリング-産卵セット(2020年9月27日-)
1次発酵ブナマットにやや硬めのバクテリア材を埋め込んで同居セット。本種は典型的な材産み種。18-20℃管理。しかし全然反応しません。11月中旬まで材を齧りもしなかったので、24-5℃まで加温しています。
②経過確認(2020年12月27日)
加温して1か月。やっと齧りだしました。これは期待できそうです。
③割出(2021年2月21日)
17幼虫を回収。一部R氏へ里子に出します。
④幼虫飼育(2021年1月-)
菌糸種はあまり縛りはないような話を聞きますが、一旦、カワラ菌糸→マットの2本返し前提で臨みます。
4.羽化個体紹介
① ♂38.5mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/4/11 恵栽園マット 800cc 4g
2022/2M 羽化確認
② ♂39.8mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/4/11 恵栽園マット 800cc 3g
2022/2M 羽化確認
③ ♂30.6mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/5/7 恵栽園マット 800cc 1g
2022/2M 羽化確認
④ ♂30.7mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/4/11 恵栽園マット 800cc 3g
2022/2M 羽化確認
⑤ ♂30.9mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/4/11 恵栽園マット 800cc 4g
2022/2M 羽化確認
⑥ ♂31.3mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/4/11 恵栽園マット 800cc 3g
2022/2M 羽化確認
⑦ ♂31.4mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/4/11 恵栽園マット 800cc
2022/2M 羽化確認
⑧ ♂31.8mm
2020/9/27セット→2021/2/21 割出
2021/2/21 恵栽園カワラ 850cc
2021/5/7 恵栽園マット 800cc
2022/2M 羽化確認
5.まとめ
正攻法的なリレーで交換タイミング、温度帯等、きちんと管理したのですが、伸びませんでした。産み渋っていたので加温、産卵スイッチを入れてまとまった数の幼虫を得るところまでは順風満帆だったのですがねぇ…このやるせなさは次世代にぶつけるしかありません。
とりあえず雌雄ともに親世代は超えたのでまあ良しとしますかね。思い入れある自己採集個体ですし、今後も諦めずに50mm連発を目標に継続したいと思います。