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クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

パリーオオクワガタ(パラワン島亜種)WF1 飼育記録まとめ

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パリーオオクワガタ(パラワン島亜種)WD ♂

1.はじめに

①パリーオオクワガタについて

 学名はDorcus ritsemaeですが、98年まではDorcus parryiと呼称され、この名残でブリーダーの間では、パリーオオや産地+パリーのように呼ばれています。個人的には産地+パリーがしっくりくるかな、と。なお、学名変更の変遷はBE-KUWA48号P19に詳しく記載があるので、ご興味ある方はそちらをご覧くださいませ。上の地図でプロットしたように8亜種に分類され東南アジアに広く生息しています。

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左からスマトラ産、ミンダナオ産、スラウェシ(北中部)産、西ジャワ産。展足が雑なので掲載するのがクソ恥ずかしいのですが…基亜種は乾燥中...あと2亜種(タイ、南部スラウェシ)入手すればコンプリート出来る…ご覧の通り亜種毎に歯型変化が楽しめるコレクション性のある虫です。ええ虫なんでみんなで飼おう!!(なおブリード成功・大量に抱えた後の諸問題については当方一切責任は負えません…)

②パラワンパリーオオクワガタについて

本種が生息するパラワン島は、フィリピン共和国(首都マニラがあるルソン島を中心として)の南西に浮かぶ極端に細長い島です(南北370km、東西平均40km)。島の大部分が密林に覆われた山岳地帯で、連続性もあることから、本種はパラワン島に広く生息しているものと思われます。島南部のブルックスポイント産(ガントン山)が最もポピュラーですね。日本に輸入されているパワラン産のクワガタの殆どがこの辺りのラベルばかりなので、採り子がたくさんいるんでしょう。本種の流通量は多くはないものの定期的に野外品が入ってきているので入手は難しくありません(2019年現在)。野外品のギネスは71.7mm、ブリード品は75mm (2012年)が記録されています。

2.種親紹介(WD)

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2019年2月初旬にヤフオクにて購入したMt.ガントン産(ガントン山産でもいいのだけれど"さんさん"二連荘で言いにくいのでMt.つけてカッコつけてます...汗)の57mmと33mm(目測)のペア。パワランパリーは大歯でも内歯が真横に向く個体が殆どで中歯もそのままサイズダウンした感じ。

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別亜種中歯(ミンパリ)との比較をしたもの。全然違う顔をしていますねぇ。パリーオオ面白くないですか?やりたくなりませんか?←しつけーな...

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お腹が減っていたのか、着弾直後は貪るようにゼリーを舐めていた2匹。当時はハスクチップ使っていたんですねぇ。顎に挟まるアクシデント増で最近は使っていません。

3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化

①ペアリング(2019年3月上旬)

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購入してから1か月間、KBファームさんのゼリーをたらふく食べさせ、養生していました。いよいよペアリングさせます。ホットな夜を過ごしてもらうべくタッパーにエサ皿を置いてペアを投入。

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生殖器の挿入を確認!V字体位による交尾は正にオオクワという感じ...引っ張りあってます...これ絶対痛いよな...しかしオオクワのペアリングは楽です。ほとんどの種類で、成熟していれば即座にそして穏やかに交尾してくれるので(スラウェシパリーだけはメス殺しを2連続経験…泣)安心して鑑賞できます。

②産卵セット(2019年3月上旬)

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 産卵セットは、月夜野きのこ園さんの「きのこマット」を5センチほど敷きつめて、その上に、半分皮付きホダ木、自作カワラ材を投入、材の間をマットで埋めたもの。きのこマットはまとめ買いすると送料無料になるのでリーズナブルですが、すぐに使わない場合は、日干しにして乾燥させて保管しています。必要に応じて加水して使えばOKです。コバエ発生率が半端なく高い気がするんだけど気のせいかな…

③割出(2019年3月下旬)

材を全く齧らず産んでいる気配が皆無だったので、カワラ材を入れてスイッチ入れるかーと考え、産卵セットを組みなおすために暴いてみると・・・

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マットに産んどるやんけ!!産み方がヒラタっぽい感じがします。幼虫飼育は水分量を多くすることがポイントという記載が「BE-KUWA48号/パリーオオクワガタの飼育」にありましたが、自然界では根食いをしているのかもしれませんね。産卵時も根回りの土中で行っているとすれば今回の事象も納得的です。 

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結局マットから6卵を回収、メスがまだ産みそうだったのと、取りこぼしを鑑みて埋め戻して1か月程様子を見ます。

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6卵のうち、5卵が孵化。また再セットからは3頭を回収。この時は丁度良い数でええやん。4♂5♀くらい欲しいわぁと呑気に考えておりましたです…

④幼虫飼育(2019年4月-)

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1本目は500もしくは800(カワラ菌糸)へ投入。管理温度は20度で飼育。写真を撮り忘れてしまったのですが、♀が早期羽化連発で、2019年8月頃には全て羽化。結果的に1本返しに。しかもその数なんと7頭…かなり偏りました。残る2頭は♂でしたが、1頭は羽化後に落ちてしまい…現在展足中っす…親と同じがちょっと小さいくらいだったので、凹み度小でしたがやっぱり悔しいよね。当代期待の♂は9月頃に体重計測した際には21g。期待大でしたが、菌糸をかき回す恒例の大暴れをかましてくれます…泣。マット割りカスを固詰めした捨て瓶に投入し羽化を促して出てきたのがこれ。

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うん、ええ感じ。ザ・パラワンパリーって感じ。

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顎くぱぁするとグランディスみたいですな…

4.羽化個体紹介(WF1)

①♂65.8mm 2019年12月羽化。飼育ギネスが75mm…化け物です。

2019年4月→500ccカワラ(大夢)

2019年7月→1400ccカワラ(月夜野

2019年9月(21g)→1400cc割りカス マット/捨て瓶

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②-⑧♀35-37mmくらい 2019年8月頃より順次羽化。金太郎飴状態なので個別紹介は割愛! 
2019年4月→500cc カワラ(大夢)

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5.まとめ

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1サイクル回してみましたがこれほど♀に偏るとは思ってもいませんでした...ブリードってなんだかんだで20頭くらい抱えるのが楽しいですよね。パリーは捌くのが地獄なのは百も承知ですが…全然売れないのよ…ってことで次サイクルも回しますよ!1♂2♀体制でやるつもり。目指すは70mm越え。終齢期の暴れのタイミングを見極めてマットへ移行できるかがポイントかな、と。2021年の年明けくらいに次サイクルのペアリングしたいと思います。