stag_beetle_japan

クワガタ飼育・採集を中心に自身の趣味・日常を綴ります 

チュウホソアカクワガタ CBF2 飼育記録まとめ

f:id:kohya0727tj:20201105121054j:plain

サバ州クロッカー山脈産 チュウホソアカクワガタ♂

1.はじめに

f:id:kohya0727tj:20201105120530j:plain

今回飼育するチュウホソアカクワガタ(Cyclommatus chewi)は、マレーシアのボルネオ島北部の高地に生息する非常に美しいホソアカクワガタです。国内で流通しているその多くがキナバル山の南側に広がるクロッカー山脈産(上記マップハイライト部分)です。この山脈は標高1800M前後の山々がサラワク州境まで連なっており、その大部分が州立公園に指定されています。現地では1500M以上の雲霧林帯での灯火採集等で得られていることから、多湿で低温な環境を好む種類であることは間違いなさそうです。クロッカー山脈では本種の他にムルティオルムホソアカクワガタやモンタネルスホソアカクワガタ、ギラファホソアカクワガタ等が生息していますが、標高等によって棲み分けがされていると言われていますね。ムルティオルム、生体入荷したらお祭りやろうな… はい!ここまで本種の周辺情報紹介・考察はおしまい。

以下、ブリード記録になりますが、即ブリ2♀体制で挑んだのにも関わらず2♂のみ(しかもハサミ・オブ・ハサミのドチビ個体たち)のとてもショボい結果なので、反面教師的なお優しい心で読み進めていただけると嬉しく思います。

2.種親紹介

f:id:kohya0727tj:20201105130926j:plain

2019年10月にオークションでトリオを2万円弱で購入(♂33mm、♀29mm-28mm) この頃はまだまだお値段張ってますね…

f:id:kohya0727tj:20201105131100j:plain

本種は光の当たり方で体色が変化して見えます。特定の角度と照度で緑色に発色しますが、この個体はピンク色っぽい体色が強めかと思います。個人的にはチュウは緑色が強くてナンボと思います。

f:id:kohya0727tj:20201105131221j:plain

個人的に好きなホソアカ♂の威嚇姿勢。

f:id:kohya0727tj:20201105131332j:plain

メスは前胸背板の点刻が多くまた深いため、発色は♂ほど豊かではなく地味。後食済みなので早速、ペアリング、セットを組みます。

3.ペアリング-産卵セット-割出-幼虫飼育-羽化

①ペアリング- 産卵セット(2019年11月初旬)

f:id:kohya0727tj:20201106181703j:image
OYKインセクトのばくさん君DX特Aマットを加水。中ケースに、壁面を作る要領でマットを押し固め、中央に自作のバクテリア材を埋め込んでいます。バクテリア材は不朽が進み非常に柔らかいものを選定。転倒防止用に水苔をセット。 

②割出(2019年12月初旬-2020年1月中旬)

f:id:kohya0727tj:20201106181716j:image
セットを組んで1か月、生殖器に難ありで産卵出来なかったのか1♀が腹を膨らませて絶命。もう一方のセットは材を齧っている様子を観察できたものの1卵しか確認できず。埋戻しの上、再セット。

f:id:kohya0727tj:20201106181729j:image

年が明けた1月。既にセットを組んで2か月以上が経過していましたが、ケース面からは一切幼虫も確認できなかったので、やらかした…と思ったものの、2幼虫2卵をなんとか回収。

③幼虫飼育-羽化(2020年1月中旬-2020年10月)

f:id:kohya0727tj:20201106181936j:image
 結局、卵は孵化せず2幼虫という非常に心許ない体制です...1本目から1500CCボトルを使用、産卵セットで使用したばくさん君を流用しました。2020年6月に同容量に交換(マットはグローバルのLBマットを使用)。今考えると加水量が物足りなかったのと、詰め方がイマイチだったな、という印象です。初っ端から大容量飼育だったにもかかわらず交換時は僅か4gと体重が乗っていません。しかもこの時点で2♂が確定、私のモチベーションは奈落の底へ。

f:id:kohya0727tj:20201106182108j:image

9月には蛹室を形成。ここまで16℃のセラーに入れっぱなしのVIP飼育。蛹化を確認したのち、20℃まで温度を上げて羽化を促します。

f:id:kohya0727tj:20201106182402j:image
f:id:kohya0727tj:20201106182405j:image
f:id:kohya0727tj:20201106182408j:image
f:id:kohya0727tj:20201106182412j:image

10月には2頭とも羽化。先代はピンクが強い個体でしたが、このサイクルは緑がベースの体色のようです。目が覚めるようなグリーンが良かったなぁ。個人的にはグリーン個体が好きなので嬉しいのですが…うーん。小さい!

4.羽化個体紹介

① ♂43mm

2019/11/3セット→翌1/11 割出→1500cc (ばくさん君+富山のクワ貧/カワラ生オガ)→6/5 1500cc (4g LBマット)→9/2 蛹室形成確認→10/16 羽化確認

f:id:kohya0727tj:20201106212544j:imagef:id:kohya0727tj:20201106212604j:image

 

② ♂ 42.2mm 

2019/11/3セット→翌1/11 割出→1500cc (ばくさん君+富山のクワ貧/カワラ生オガ)→6/5 1500cc (4g LBマット)→10/M 羽化確認

f:id:kohya0727tj:20201106212527j:image

5.まとめ

f:id:kohya0727tj:20201106212639j:image

いやーとってもプアな結果で不甲斐なし!悔しすぎてすでに1ライン追加購入、早くも(2020年11月現在)産卵セット組んでいます。今回のブリードの気づきとしては、①低温管理だけでは大きくならない ②容量依存しない?(少なくとも初齢はマストではない)の2点です。N数が極端に少ないので前述2点が正しいか、更なる検証が必要ですが、エサとなるマットの状態や交換タイミングの条件等がシビアな歯応えのある種類なのだと改めて感じました。まずは一定数の幼虫がとれないと始まらないのですが、次サイクルは、60mm台を目標とするとともに、マットの事前仕込みや 加齢前の交換タイミングをポイントにしてリベンジしたいと思っています。お遊びですが川砂を使った材飼育も試してみたいところですが、こちらは余力があれば。

6.参考資料/参考資材/参考記事

stag-beetle-japan.com